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目的地へ頭上から下を見れば、腕に数本の刃物が刺さっている轟と、地面に倒れている緑谷、飯田、ヒーローであろう男性
そして何より、彼らと対峙している、幾つものナイフを携えている男…
その人物の異質な雰囲気と飯田がここに居るということに、彼がヒーロー殺し・ステインだと察する
「"
更にステインがナイフを投げつけようとしているのを見て、頭上から落下しながら叫び彼らの周りに"盾"を張りナイフを弾く
それに上を見上げる彼等と、その場から飛び退くステインを視界に入れながら、張った"
「「怜奈/ちゃん!!!」」
「遅くなってごめんね!!大丈夫?」
「ハァ…………今日は本当に、よく邪魔が入る…………」
ざらりと長い舌でナイフを舐めるステイン
プロヒーローの知り合いが多いおかげか、怜奈は一目で一般人と犯罪者の区別がつけられる。
彼は犯罪者の中でも相当手練ている。
自身の第六感が目の前の人物は危険だと、ガンガンと頭を殴りつけてくる。
「怜奈ちゃん!!そいつに血ィ見せちゃダメだ!!!」
"
すかさず飛んできた刃物を飛び上がり避ければ、更に第二撃が飛んでくる。
「"
それに"
が、彼は手持ちの刀でそれらを弾く
「その個性は………」
「君まで…ダメだ怜奈くん!!これは僕の問題なんだ!!そいつは兄さんを傷つけた犯罪者だ!!!だから、僕がそいつを………」
一瞬戸惑いを見せたステインに疑問を持つも、飯田の声により今はそんなときではないかと切り替えると、ふたたびステインが攻撃を仕掛けてくる。
正面から切り込んでくるステインをギリギリのところで避け、"
低く体制を保ちながら"
「翡翠」
キンッ
振り上げられた刀は、腕を翡翠に変幻させた怜奈の腕に当たり、切っ先が折れ宙を回転しながら落ちていく。
それに一瞬怯んだステインの脇腹にこぶしを撃ち込むと、後ろへと吹っ飛ぶ。
「飯田くん、あなたの思いは、痛いほどわかる………けど今のあなたは、私利私欲のために動くただの…愚か者だッ…」
「「!!」」
普段の怜奈からは聞いたことのない怒りを押し殺すような声に、轟達は目を見開く
「な、ぜだ!そいつは、兄さんを……」
「規律を重んじ、人を導く───それが、あなたの目指すヒーロー像なんでしょう?」
「!!」
「私の知っている飯田くんは……そんな風に濁った瞳はしていなかった」
自分の知っている彼は、いつだって真っ直ぐで、些細な間違えでもすぐに立ち止まって正してきた。
「前を向こう、飯田くん
──あなたには、立派な脚があるんだから」
笑顔で振り向けば、飯田が唖然とこちらを見上げている。
瞳の奥の黒い濁りの中に、一筋の光が見えた。
「大丈夫、絶対、大丈夫だよ」
「やはり、貴女は……………………ッ」
「怜奈ちゃん!!」
「みっちゃんッ?」
吹っ飛ばされたステインが腹部を抑えながら何かを呟くが、気配を察知し空中に移動する。
が、彼を追うように飛び上がった緑谷がステインの首に巻かれた布を掴み、壁伝いに引きずっていく。
凄まじい勢いで壁をえぐりステインが引きずられていたが、その体勢から体をひねり緑谷の背中に肘打ちを入れると、地面に着地する。
攻撃を受けた緑谷が背中から落ちたところに轟が氷の個性でステインを遠ざける。
「血を取り入れて動きを奪う。僕だけ先に解けたってことは…」
「…考えられるのは3パターン」
「…後から摂取されたみっちゃんから解けたなら、人数じゃない。摂取量は、刃物を使っている時点で考えにくい。残りは………血液型」
「血液型………ハァ、正解だ………」
ステインの個性の条件はわかった。
あとは攻め方をどうするかのみ
「相手は完全近距離型。…個性的には私と焦ちゃんが有利だけど、圧倒的に実践面では負けてるし何より彼自身が個性なしでも桁外れに強い
みっちゃんと私が近距離での攻撃で距離を保ちつつ、焦ちゃんの後方支援が今できるベストだね」
「わかった。」
「あぁ、守るぞ、3人で」
ザッと3人で戦闘態勢に入るが、それを見たステインはスっと目線を怜奈に向けた
「…………貴女はダメです、我が君」
まるで従者が主人に言うかのような静かな物言いでステインがそう言ってくるのに、怜奈は再び眉間に皺を寄せ、轟達も警戒しながら疑問を抱く。
「我が君………?」
「何言ってんだお前…」
「………私には、あなたを傷つけることは出来ない
─本物のヒーロー フェアルズの御息女よ」
「「!!!」」
「っ、なぜ………」
「その瞳と信念………確かに、彼と同じものを感じる。贋物では無い、本物の輝きを持っている…貴女を傷つけるのは思想に反する」
ヒーローの本物と贋物……
おそらく彼はまだ、完全なる悪に蝕まれてはいない。
ステインにはステインなりの信念があるのだ。
だがそれでも、彼が奪った命があることは事実
「………それでも、私はあなたを止めます
──────ヒーローとして!!!」
真っ直ぐに言い放つと緑谷と目で合図を交わしステインを挟むように移動して腕を振り上げる。
それにステインはもう1本の刀の切っ先を緑谷に向けるが、怜奈に対してはあくまで避けるだけ
緑谷に飛ぶ刃物を"
3対1という今の状況にステインは更に動きが柔軟になってきている
やはり場数を踏んでいるだけあり、強い。
「っ」
「みっちゃん!」
ナイフが緑谷の頬を掠めたのに、怜奈が緑谷の前に移動しステインの刀を受け止めると、彼はすぐに後ろへと引く
「お下がりください、我が君」
「目の前で誰かが傷ついてるのを見て、何もしないわけないでしょう!!」
そのまま肉弾戦へともちこみ緑谷と轟もそれに合わせて支援していく。
「やめてくれ…。もう、僕は………。」
友が必死になって自分達を守ろうと戦う…その様子を見ながら、飯田は歯をくいしばり今までの自分を振り返る。
常に笑顔で、困っていた人たちを助けていた兄が誇りだった。自慢だった。憧れだった。
兄が傷つけられたから、自分がその仇をとるのだと、目の前が真っ暗になって、何も、考えられなくなってしまった。
その結果、惨めに這いつくばり、友がボロボロになっていく。それがとてつもなく、情けなくて…
「やめて欲しけりゃ、立て!!なりてぇもんちゃんと見ろ!!」
弱々しい飯田の声に、答えを見つけだした1人である轟が荒々しく声を上げる。
その言葉に、潤む視界の中、兄と緑谷達の姿が飯田の中で重なり合う
(お前の言う通りだ、ヒーロー殺し。)
(僕は、彼らとは違う未熟者だ………それでも!)
緑谷の攻撃を掻い潜り、遠距離型の轟に狙いを定めたステインに轟も炎を出して応戦するが交わされる。
その間に懐に潜り込んだステインの刀が轟の目の前に来ているのに、怜奈が"
「ッ」
「「 怜奈/ちゃん !!!」」
──あなたには、立派な脚があるんだから─
「レシプロ、バースト!!」
(今ここで立たなきゃ、みんなに………追いつけなくなってしまう!!)
怜奈の言葉を胸に、動けるようになった飯田が蹴りで刀を折る。
それに怜奈は目を見開くが、飛び退いたステインにこちらも同時に距離をとり轟の隣に移動する。
そしてステインは鋭い視線を飯田へと向けると、静かに嫌悪を滲ませながら語る。
感化されたとしても、人間の本質はそう簡単には変わらない
私欲を優先させる”偽物”にしかならない
…彼は現代の"ヒーロー"を変えようとしている。
その根源はおそらく、ヒーローへの憧れと崇拝
自分が敵の立場に回るのは、今のヒーローを変えようとしているが故の行動
…なんて不器用な人なのだろうと、怜奈は悲しみから顔を顰める。
もし彼が、こんなやり方で世間を脅かすような行動を止められたなら…
もっと違う未来がステインに訪れていたのではないか。
そこまで考えて、やはり違うと頭を振る
これが彼の導き出した答えなら、彼が望んでの行動なら、自分は彼を止めるために動かなければいけない。
ステインに蹴り飛ばされた緑谷を支えるが、今度は轟を攻撃したステインの刃が、彼を庇った飯田の右手に深く突き刺さった
「ッ飯田くん!!…っみっちゃん、飛ばすよ!!」
「うん!!」
飯田が攻撃されたのに怜奈は声を上げるが、轟が飯田の足を氷で覆っているのを見て、何か算段があるのだろうと反対側から"
空に逃げているステインに、逃げ場はない。
緑谷の拳と飯田の足がステインに撃ち込まれ、更に畳み掛けるように轟の炎がステインを覆う。
「"
「うおっ!?」
「あ、ありがとう怜奈ちゃん…」
「大丈夫?」
「す、まない怜奈くん、助かった…」
落ちてくる3人を"
ステインのみ浮かせたまま近付けば、完全に気絶しているのか動く気配はない。
「じゃあ拘束して通りに出よう。何か縛れるもんは……。」
「なら私が…」
"
「ありがとな怜奈」
「ううん」
「念のため武器は全部外しておこう。」
ヒーロー・ネイティブの治療を施し通りに出れば、グラントリノが駆けつけたところで、緑谷の顔面に蹴りを食らわせる。
「お、おじいちゃん、ごめんなさい…」
「おお!怜奈!怪我はないか!?」
「うん、大丈夫だよ」
「「お、おじいちゃん?!!」」
「む?!ここに傷ができとるぞ!!ここも!!小僧、ちゃんと守らんか!!!」
「ぶはっ!!すみません!!」
「大丈夫だから!」
再び蹴られた緑谷と飯田の叫びと轟の衝撃!と言った顔に慌てて父親の知り合いで仲が良かったのだと説明する。
…それも事実だが、オールマイトの師匠ということもあり、何度も会っているのだ。
初めて会った際に何故かおじいちゃんと呼んでほしいと言われたので、実際自分には祖父という存在がいなかったので快諾して呼ばせてもらっている。
(ほら怜奈!おじいちゃんだぞ!じーじでもいいぞ!!)
(オイイイイイ!何俺の許可無く呼ばせようとしてんですかぁ!!)
(うるさいぞ誠!!)
(じーじ?)
(………よし、貰ってくぞ誠)
(させるかあああああああああぁぁぁ)