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体育祭から2日経った今日
天気はあいにくの雨だが、心身ともに疲れが取れているのを感じる。
これもみんながお祝いしてくれたおかげだな〜とお祝い会の時のことを思い出し怜奈はふふっと笑いをこぼす。
お祝い会という名のパーティでは彼らは嫌というほど怜奈を可愛がり写真を撮ったため、嫉妬したオールマイトが途中で怜奈の体を抱き上げ校内を逃走しだしそれから校内鬼ごっこ大会が始まったのだが、それはまた今度話そう。
((待てこらああああああ!!!!!))
(みんなベタベタスるからNO!!!)
(パーパもみんなも速いね〜)
「Umm…今日は雨か…」
「おはようパーパ」
「おはよう怜奈、雨だと憂鬱になっちゃうね…」
「でもパーパから貰った傘が使えるから、ちょっとじめじめしちゃうけど嬉しい!」
(あ、家の中は天使がいるから常時晴れだった)
はいどうぞっと笑顔でコーヒーを渡してくれる怜奈にオールマイトは切実にそう思ったという。
「みっちゃんおはよう〜」
「怜奈ちゃん!おはよう!」
学校の門を潜り昇降口に入ると傘を畳んでいる緑谷の姿を見つけ声をかければ、緑谷はバッと言う効果音がつきそうなほどの勢いで振り向く。
1日ぶりだね〜と怜奈が声をかけながら水滴を落とすために傘を傾けると改めて傘の柄を見た緑谷の目がかつてないほどにまで見開かれた。
「怜奈ちゃんっ!!そっそそそそそそれって……!!?」
「あ、これ?パーパに貰ったんだあ」
「まっまままままじか!!!」
緑谷が震える指で指した怜奈が持っている傘は、全国抽選限定50人だけが手に入る超レアグッズ
その名もオールマイトUmbrella
この傘は50本全て柄が違っており、中でも怜奈が手にしている傘はオールマイトの直筆サイン入りのレア中のレア物だ。
「僕も抽選に参加したんだけど当たんなくって……うわぁホンモノだあぁ…」
「家にもね、デザインは採用されなかったけど試作品として送られたやつが何本かあったから、みっちゃんにもあげるね!」
「え"え"え"え"え"?!そっそれって完全非売品ってことだよね?!!!」
「パーパに言ったらいいよーって!」
「なななななななんてこったい……!!」
自分なんかにそんなのいいのっ?!と聞けば「雨の日も好きな人のもの持ってたらいい日になるでしょ?」と怜奈は傘を畳みながら言い、さらに好きなものは共有したほうが嬉しいっと雨雲を吹き飛ばすほどの笑顔を浮かべたのに、緑谷は胸を抑えた。
緑谷が落ち着いた頃を見計らいクラスに入ると、何やらみんな盛り上がっている。
「みんなおはよう!」
「おはよー!」
「おはよう怜奈ちゃん!」
「なんのお話してるの?」
聞くと雄英体育祭の影響で、登校中や休日中にすごく声をかけられたという話題だった。
それによりどんまいコールをされたという瀬呂や頑張ったなと緑谷なども言葉をかけられたらしい。
「てかさ、ウチらなんかより怜奈ちゃんの方がやばいでしょ」
「怜奈さん!わたくしもう心配で…大丈夫でしたか?」
「え?」
「なんてったって体育祭優勝!」
「しかも超絶美少女!」
「声掛けられないわけないっしょ!」
ぽかんとしたように声を上げた怜奈に畳み掛けるように芦戸や上鳴が言えば怜奈はぱちぱちと目を瞬かせたのに、緑谷が苦笑しながら代弁する。
「もちろん視線は凄かったんだけど、怜奈ちゃん気づかなくて…」
「え、そうだったの?」
「多分声はかけたかったんだろうけど、オーラ凄くて声掛けられなかったんだと思う…」
「???」
(((あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)))
一人なんのことかわからずに首を傾げる怜奈にクラスは心の中で察した。
「…なんでそれを緑谷が知ってんだ?」
「あ」
「休みにね、みっちゃんの家に行ってご飯食べたんだ〜」
緑谷の発言に轟が鋭く指摘すると、緑谷はしまったと口を抑えるも怜奈がにこにこと嬉しそうに楽しかった〜と花を飛ばす勢いでポロリとこぼした内容に、全員が和みかけるがじろりと緑谷に視線を向けた。
「あ…や、えっと、その〜……」
「ふざけんなよ緑谷アアア!!」
「これが幼馴染特典か?!!!」
「許せん!!!!」
「罰を!!!」
「ちょ、みんな、あ"ーーーーー!!!」
それから緑谷を囲んでやんややんやと騒いだ後、チャイムが鳴り席につけばそれと同時に相澤が姿を見せる。
包帯の取れた腕にほっと息を吐き出すとそれを見た蛙吹も同じようにそれを指摘するが、彼はそれを一蹴すると本日の1時限目の授業について話し出す。
「今日の"ヒーロー情報学"ちょっと特別だぞ。」
そんな彼の言葉に内心テストだろうかとクラスが不安気な雰囲気に包まれるが
「"コードネーム" ヒーロー名の考案だ。」
「「「胸膨らむやつきたぁぁぁぁぁ!!!」」」
どわあああああとテンション高く盛り上がる中、ギンっと相澤の目が光り更には髪の毛が立ち上がるさまに、一気に場が静まり返った。
それを確認すると相澤は力を抜き、今回ヒーロー名の考案が必要となったのは、"職場体験"があるからだと内容の詳細を伝えていく。
二日間の休みの間に教師陣が集計した、プロからのドラフト指名
指名自体が本格化してくるのは、経験を積んで即戦力と判断される2.3年から
その為、今回の指名は体育祭で感じた"将来性"への"興味"。
当然卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルももちろんあり得る
もらった指名がそのまま自分たちのハードルとなるという
そこまで話終わると相澤はリモコンを操作しモニターを黒板に映し出す。
「で、指名の集計結果がこうだ。」
神風 7,879
轟 4,123
爆豪 3,556
常闇 360
飯田 310
上鳴 272
八百万 108
切島 68
麗日 20
瀬呂 14
「例年はもっとばらけるんだが、3人に注目が偏った。」
「うわ怜奈ちゃんえげつない…」
「すげぇぇ…」
「あんなの見せられたらなー」
「流石だよな」
「これを踏まえ、指名の有無関係なく…。いわゆる職場体験に行ってもらう。」
そこで先程のヒーロー名が職場体験で呼ばれる名として関係する
「まぁ仮ではあるが適当なもんは……」
「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」
ガラリとドアが開き相澤の言葉を遮り登場したミッドナイト
彼女らが言うには、この時決めた仮の名が世に認知され、そのままプロ名になっている人が多いとのこと
「将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まりそこに近づいていく。それが、名は体を表すってことだ。"オールマイト"とかな。」
考える時間はおおよそ15分間、ヒーロー名が決まり次第教卓での発表制となる
それからは青山と芦戸により大喜利のような空気になったが、その後の蛙吹の「フロッピー」から持ち直し、みんな思い思いのヒーロー名を発表していく。
途中爆豪が爆殺王と名付けてミッドナイトに冷静に却下されているのを見て苦笑をもらすと、ミッドナイトは「怜奈は決まった?」と声をかけてくるのに全員の目が向けられる。
一応書いてはいたがどうしようかと迷っていたボードを見て、そのまま胸にボードを抱いて前の教卓へと上がる…がその前に
「消太せんせ…」
((((まじか?!!!))))
怜奈が隅の方で寝袋に包まっている相澤をゆらゆらと揺するのに、クラスは固まった後に絶対やばいだろ!!!とハラハラとその様子を見守る。
「……ん?………怜奈か、どうした?」
「起こしちゃってごめんなさい、これ、どうかな…?」
「、…この名前…」
「や、やっぱり似合わないかな…」
気だるげに目を開けた相澤は自分を呼んだのが怜奈だと分かると目元を緩める
そして怜奈がおずおずと自信なさげにヒーロー名を見せてくるのに、一瞬目を見開くがふっと寝袋の下で笑いをこぼすとぽんぽんとその頭を撫でる。
「俺はいいと思うぞ、この名前」
「…ほんと?」
「ああ、…あの人も喜ぶだろうな」
「!…ありがとう、消太先生」
そう言葉をもらったのに、撫でられた頭を抑えながら緩む口元を何とかきゅっと引き結び今度こそ教卓へ上がった
「これが私のヒーロー名、です」
迷いなくトンッと置かれたボードに書かれた文字
その文字にミッドナイトは一瞬目を見開くと、直ぐに表情を緩める
「ジュエルウィッチ…宝石の魔女ね!」
「はい。…尊敬する人に貰った名前です」
─俺、怜奈のヒーロー名考えたんだぞ!─
そう言ったあの人に対して、周りは勝手に決めるなと大ブーイングだったけれど、自分にとってはとてつもなく嬉しくてその名は親から贈られる二つ目の名前だった。
過去が脳裏を掠めるのに、まっすぐと背筋が伸びる。
「みんながこの名前を聞いて安心できる…それが、私の目標です!」
彼がつけてくれたこの名に恥じぬようにしなければいけないと、改めて怜奈は前を見据えた
こうして、無事爆豪以外は名前が決まったのだった。
「それと寝ている相澤くんを起こすのは怜奈以外はやめときなさいね。殺されるわよ」
「「「それは絶対やりません」」」
(オールマイトさん、これ…怜奈のヒーロー名です)
(!……ああ…彼が喜ぶね)
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