MHA中心
雄英体育祭
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
打ち上げられる花火
所狭しと並べられた屋台
雄英体育祭当日はこれ以上ないほどに盛り上がっていた。
屋台へと続く道を歩いていれば、許可証をぶら下げたプロヒーローが何人もいる。スカウト目的で来ているのだから、その数は凄まじい。
そう考えながら歩いている怜奈だが、道行く通行人は彼女とすれ違うと必ず振り返った。
今までにあったことがないほどの美しさを持つ怜奈にはたくさんの視線が集中しているが、残念なことに彼女は気づいていない。
そんな視線を受けながら歩いていれば、屋台から声がかけられる。
何事かと視線を向ければ店主の人がにこりと笑いながらこいこいと手を動かしている。
それに素直に従い近づけば差し出されたのは熱々のたこ焼きだった。
「たこ焼き……?」
「お嬢ちゃん体育祭出るんだろ?それ食って頑張んな!!」
「あ、お金…」
「お嬢ちゃん可愛いから、サービスだよ!持ってきな!」
「えっ!いいんですか?!」
たこ焼きと店主を交互に見つめた後、素直に好意を受け取ろうとありがとうございます!と花が咲いたように笑う怜奈にそれを見ていた人達は顔を赤らめて固まった。
怜奈は固まってしまった店主に気づかず、そのまま手を振って再びお礼を言うとその場から去っていった。
カシャンッ
「ん?」
たこ焼きを受け取り少し進んだ道で前の人物が何かを落とした。落とした本人はそれに気づかずに横にいる2名とスタスタと歩いていってしまう。
慌てて落し物を拾い上げると、どうやら許可証らしい。
流石にこれはないと困るだろうと思い走りより声をかける。
「あのっ!」
「ん?………っ!」
「これ、落としましたよ?」
声をかけると横にいる2名も一緒になり振り返る。どこかで見たことがあるので、おそらく彼らもプロヒーローだろう。最近のヒーローはよく知らない為、こんな時緑谷のようにヒーローに詳しければと思う。
すると声をかけたはいいが何故か彼らは固まってしまっているので不思議に思いながらもう一度声をかけてみる
「あの…?」
「えっ?あ、あぁ!ありがとう!」
「いえ、渡せて良かったです。じゃあ私はこれで…」
ぽかんとしていた彼らはハッと意識が戻ったのか、真ん中の人物が慌てて許可証を受け取るのに、目的を果たした怜奈は一礼してから今度緑谷に最近のヒーローの情報を聞いてみようかな?と考えながら立ち去ろうとした時
「あ、待ってくれ!」
「え?」
「あ、その……体育祭頑張って!!!」
引き止めた彼は少し視線をさ迷わせてから前のめり気味にそう投げかけてくれる。
唐突に言われた言葉に一瞬きょとんとしてしまうが
「はいっ!頑張ります!」
「「「!!」」」
「ありがとうございます!では、失礼します」
プロヒーローが応援してくれるのはとても嬉しいので満面の笑みでそう答えたのに彼らは息を飲んだが怜奈は再び一礼して今度こそその場から去っていった。
それからその場と前の店主のやりとりを見ていたであろう他の店主たちもあれやこれやと彼女に商品を渡すのだった。
(みんないい人だな〜)
(………………天使)
(何あの子…可愛い…)
(シンリンカムイ、Mt.レディ落ち着け。可愛い。)
((お前もな))
─────
ガチャリ
「ただいま〜」
「あ、怜奈ちゃん!…てっ!」
「「「何かめっちゃ持ってる!!」」」
笑顔で入ってきた怜奈に麗日がパッと顔を向ければ、にこにこと笑う彼女の両腕は溢れんばかりの食べ物で埋まっている。
見事に轟と緑谷のピリピリとした雰囲気をぶち壊した本人はそれに気づかず入室する。
その状況に全員が総ツッコミをいれれば、彼女はよいしょっとそれらをテーブルに並べた。
たこ焼き、焼きそば、唐揚げ、ベビーカステラ、玉せん、ポテト、りんご飴…などなど
「どうしたんですか怜奈さん、こんなに沢山…」
「なんかね、歩いてたらお店の人が頑張れ〜って言ってくれたの!優しいよね」
「「「(お前が可愛いからだわこんちくしょー!」」」
ほわほわと花を飛ばす勢いで嬉しそうに笑う怜奈に思わず全員がそっかーと和んでしまうが、恐らくそうなるのは彼女だけだろうと心の中で思った。
「いっぱいあるからみんなで食べよ!まだあったかいよ〜」
「ええの?!」
「やったー!」
「ありがとう怜奈ちゃん!」
それからみんなで屋台の商品をぱくつけば、少しだが空気は柔らかくなっていた。
全て食べ終わった頃にはもう入場の時間で、みんなで足を運んでいく。
「…怜奈」
「焦ちゃん?」
入場の途中で1番後ろにいた轟に声をかけられた怜奈は彼を振り向くと、その表情に一瞬悲しげに瞳を細めるも、直ぐに元の表情に戻す
「大丈夫だよ、焦ちゃん」
「!!」
「大丈夫」
轟の手を優しく握り、ふわりと笑う。
「あなたは、強いから」
「っ…」
そう言えば、目の前の彼はきゅっと唇を引き結んだ。
何か言いたそうに、けれどもうまく言葉にできない、そんな顔で。
入場門から差し込める光が見えてくると、怜奈はそっと手を離す。
それに轟が寂しそうな顔をしていたのを、彼女は知らない。
差し込める光が目の前いっぱいに広がるとともに聞こえるたくさんの声
《どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ?!敵の襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!》
「─────行こう、焦ちゃん」
《ヒーロー科 1年!!A組だろぉぉ?!》
数え切れないほどの歓声が生徒へと降り注ぎ、今から始まる舞台に心が震えた。
それから全ての生徒が集合すると、主審を務める18禁ヒーロー、ミッドナイトが高らかに声を上げた。
「選手代表は、雄英初のスカウト枠!!1年A組神風 怜奈 !!! 」
「え……?」
「「なっ………」」
「怜奈ちゃん、スカウト枠だったん?!」
全員が驚いていると、それを代表するかのように麗日が声を上げる。
対して怜奈は宣誓などとそんなこと一言も言われていなかったので硬直してしまったが、そうしている訳にもいかず慌てて壇上へと上がる。
その瞬間に彼女に向けられる尋常ではないカメラとフラッシュ
雄英始まって以来の初のスカウト枠と言われて、これ以上ないほどのネタであろう
加えて今までに見たこともないぐらいの美少女ならば撮られないわけがなかった
「うわ、カメラすげぇな…」
「大丈夫かしら…」
「…う〜ん…………」
「………悩んでるな」
「kawaii」
「それな」
当の本人はミッドナイトからマイクを貰い、うーんと悩んでいる。それは後ろにいる彼らにも伝わっていた。
悩んでいても始まらない!と覚悟を決めた怜奈は後ろを振り向いて口を開く。
「宣誓!って、言っても何も思いつかないんですけど…」
眉を下げて困ったように言う彼女に全員が笑いをこぼし、頑張れー!などの声援から怜奈は手を振り応えると、でも、とまっすぐ前を向いた。
「私は…上に行きたい。
そのために、全力で皆さんに挑みます!
よろしくね!!」
オオオオオオオオオオ!!!!!
「青くっさい!!最高!!!」
力強く言い放った言葉に、会場が揺れるほどのの歓声がこだまする(ミッドナイトは興奮している)
マイクをミッドナイトに手渡し、ぺこりと頭を下げてから下へと降りるとA組のみんなからはかっこよかった!!などと言って貰えて頬が緩んでしまった。
「さーて、それじゃあ早速第1種目行きましょう!」