MHA中心
雄英体育祭
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《体育祭2週間前》
本日の授業も終わったので、相澤に学校の訓練所を貸してもらおうと席を立った時、ドアのほうが騒がしいことに気づく。なんだろうと轟と首をかしげていると麗日の声が聞こえる。
すっと視線を向ければ、そこは人でごった返していた。
あまりにも厚いその人の壁に驚いていると、誰かがそれに対して声を上げる。
「出れねーじゃん、何しに来たんだよ!」
するとそれを無視するかのように爆豪が鞄を担いで入口へと向かう
「敵情視察だろ、ザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見ときてえんだろ。意味ねェからどけ、モブ共」
と心底どうでもよさそうに吐き出された言葉にドアの前にいた人達は明らかに怒りが顔に出ている。
その言い方に対してA組は焦っているがそれも本人は何処吹く風。そのまま出ていこうとスタスタと足を進める。
「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ。」
そう声があがり、その声の主を辿れば、紫色の髪を逆立て、目の下にクマをつくった1人の男子生徒がいた。
「(あれ?あの人…)」
入試の前に会った…と怜奈は見覚えのあるその人物を見つめる。
彼はその視線に気づいていないのか、そのまま言葉を続ける。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅する。普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ。知ってた? 体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ」
そして宣戦布告まで告げた。
それに続いて恐らくB組の人がさらに言葉を重ねていくが、爆豪はそれを聞き流しまた足を進める。
「あ、勝己くん…」
「待てコラ、どうしてくれんだ! おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねえか!」
すると彼はさも当然のように口を開く
「関係ねえよ。──上に上がりゃ、関係ねえ」
そう一言だけ残して、爆豪は人混みをかき分け行ってしまった。
最悪の雰囲気を作るだけ作って出ていってしまった爆豪にクラスが沈んでいると、怜奈は確認するかのようにさっきの人物の前に立った。
「えっと、心操くん……だよね?」
「っ!あんた、あの時の…」
「やっぱり!雄英受かったんだね!!」
「…………怜奈、誰だそいつ」
「あ、入試前に1度あったんだ」
轟が隣に来て説明を求めるので簡潔に述べれば、じっ…と彼は心操を見つめた。
それを視界に入れつつ、心操は目の前の彼女を見て少しだけ雰囲気を柔らかくすると、きゅっとまた表情を引き締めた。
「怜奈も…てかやっぱりA組なんだね。」
「え…?」
「あんたも油断してると、足元掬われるよ。」
そう言ってくる彼に、怜奈はきょとりと首をかしげた。
「油断なんてしないよ?」
「………………え、」
「だってみんなヒーローを目指してる。同じ舞台に立ってるのに、そんな人達に油断なんてできるわけがないもの。」
「「「「!!!」」」」
真っ直ぐに言い放つ怜奈に周りは目を見開き、それは心操も同じだった。
「同じ舞台にいる限り、私たちはライバルだもん。だから、私は全力をだすよ…
油断なんてしてあげない!」
負けないぞっ!と拳を向けてくる怜奈に周りも怒りが消え失せていくのを感じる。
クラスなどは関係ない。たとえどんな相手が来ようとも全力で迎え撃つというのでは、怜奈も爆豪と同じだった。
いかにも彼女らしい台詞に心操もフッと笑った。
「あー…ほんと敵わないよ。」
「え?」
「なんでもない」
じゃーなと言って心操は怜奈の頭を一撫ですると教室へと帰っていった。
「おうお前!さっきの言葉響いたぜ!俺も負けてらんねぇな!!」
そう言ってくるのはさっき爆豪に向かって何か言っていたB組の生徒だ。彼はそれだけを言うと満足そうに去っていった。
それから人混みが晴れていき怜奈が後ろを振り返ると、なぜかキラキラとした視線が送られる。
「さすが怜奈ちゃん!!」
「すごいね怜奈ちゃん!!めっちゃかっこよかった!!」
「ブラボーだ神風くん!!」
「おかげで助かったぜ!!!」
とみんなが興奮しているのに首をかしげ、荷物を手に取ると轟が近寄ってくる。
「怜奈、今日一緒に帰るか?」
「今日は消太先生にちょっと用事があって…ごめんね?」
「そうか…怜奈、」
「なあに?」
「…………いや、やっぱり何でもねぇ…」
「?」
本当は心操とのことを聞きたかったが聞けなかった轟だった。
そのまま鞄を持ち、クラスメイトに別れを告げ相澤のもとへと歩いていく。
その日は無事訓練所を借り、時間の許す限り、体術を中心にトレーニングをして迎えに来たオールマイトと共に帰った。
それからはあっという間に時間は過ぎていき、
ついに、本番を迎える。