MHA中心
USJ
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒霧に飛ばされた怜奈はセントラル広場の真ん中に来ていた。そこには相澤が敵と交戦の真っ最中で、すぐに近くに駆け寄り彼の背後にいた敵に"闘"を発動させ思いっきり蹴り飛ばすと噴水の中へと落ちていった。
「!怜奈っ?!なんでここに!!」
「っワープを個性に持つ敵に飛ばされたの!たぶんみんなもどこかに飛ばされてる!!」
「何っ」
相澤は一瞬驚いたように目を見開かせるが、ここへ飛ばされた怜奈に顔を歪ませる。
「(よりにもよってこんな敵の中心地に…!)」
案の定佇む怜奈を見つけて敵はニヤニヤと下品な笑みを浮かべている。
「女だ!!しかもすげえ上玉だぜ?!」
「俺らでたっぷり可愛がってやるよ!!」
「っ!逃げろ怜奈!!!!」
向かってくる敵に相澤が声を上げながら怜奈の元へと駆け寄ろうとするが、周りの敵がそうはさせないと言わんばかりに襲いかかってくる。
それらを振り払い怜奈へと目を向けるが、その瞳は見開かれる
「!!」
「大丈夫だよ、消太お兄ちゃん」
笑っているのだ。誰よりも、美しく
「 かの敵を一掃せよ "
彼女がそう呟いた瞬間、周りの敵は一斉に吹き飛ばされていた。敵はそのまま地面へと叩きつけられ、更には"
敵を薙ぎ払い拘束までした彼女に相澤と敵は呆気に取られる。
「守るんだ…みんなを!!!」
一点の曇もない瞳で宝石と魔法を駆使し向かってくる敵を薙ぎ払い戦う姿が、相澤の中で憧れの人と重なったのに泣きそうになる感情を抑えつけ、再び目の前の敵を縛り上げた
それから怜奈は相澤と離れて戦うも周りにいるのはおそらく下っ端ばかり。ここでこの戦闘力だとすると、飛ばされたみんなも1人ではないのなら大丈夫だろうと薙ぎ払っていく中で冷静に分析をする。
が、こんな寄せ集めのチンピラのみでオールマイトを倒しに来たとはどうも考え難い。恐らくだがオールマイトを倒す切り札は、このセントラル広場にいると推測する。
周りが拘束した敵の割合の方が八割を超えたあたりで、入口の方から焦ったような声が聞こえてきた。
「くそう!!」
「13号先生!!!!」
飯田の声が聞こえたあとに麗日の声も聞こえた。その言葉に瞬時に視線を出入口付近に向けると、黒霧の個性により、ブラックホールで自分の体をチリにしてしまった13号の姿が見えた。
先程聞いた声の飯田はその場にはおらず、無事に外に出れたようだ。
「消太先生!13号先生の救護に向かいます!!」
「頼む!!!」
相澤とコンタクトをとった後"
「13号先生!!(意識がないっ…)」
「!怜奈ちゃん!!どうしよう、13号先生が…!!」
ボロボロに崩された13号の背中を見て涙を浮かべ青ざめる麗日へと怜奈は安心させるように優しく笑いかける
「大丈夫だよ、お茶子ちゃん───クリスタル!」
泣いている麗日を宥めながら13号に向かって手をかざし宝石の中のクリスタルの能力である治癒を使えば、ピキィンッ と透明の膜が13号の全体を覆う。
クリスタルでできたこの膜は集中的に酷い怪我を修復していく働きを持っており、術者が気を失わない限り発動を続けることが出来る
恐らくこれで傷は塞がるだろうと思いながらも油断は出来ないと麗日の頭を撫でながら怜奈は眉間に皺を寄せた。
「なに、あれ?」
そう声を上げ遠くから怜奈の個性に興味を示したのは、手を顔面や腕、体につけた痩せた風貌の男。
死柄木弔
「あいつ、さっきはあいつらのこと凄い勢いで倒してたよなあ?」
しかもコイツら縛られてるし…と、この場には似つかない何とも軽い口調
今まで後ろに控えていた死柄木が前に出たので、相澤はあいつが本命かと狙いを彼に絞り向かっていく。
「23秒…お前じゃ、ないんだけどな。」
相澤が死柄木の懐に飛び込み鳩尾を狙い肘を突き立てようとしたその時。
「無理をするなよ、イレイザーヘッド。」
彼は相澤をよく見ていた
相澤の髪の毛が下がる瞬間、その一瞬が能力の穴だと彼は見抜いてしまっていたのだ。個性を消すことが出来ず死柄木に掴まれた相澤の肘が、ボロボロと崩れ落ちた。
崩れた肘に気づき、距離を取る相澤に再び敵が襲いかかる。
そんな相澤に語るように話しかける死柄木
相澤の個性は、集団との長期戦は不向きで得意なのは、奇襲からの短期決戦
それでも飛び込んで来たのは
「生徒に安心を与えるためか?」
かっこいいなぁ、かっこいいなぁと死柄木がニタリと笑った瞬間
相澤の体に、不穏な影が落ちる
「ところでヒーロー。本命は俺じゃない。」
「怜奈ちゃん!!相澤先生が!!」
芦戸達が声を上げたのに従い13号の手当から広場へと目を向けた時、そこに広がっていた光景は
「お兄、ちゃん……………?」
ひやりと、冷たさが全身を駆け巡っていく
「対 平和の象徴、改人”脳無”。」
脳無に右手を折り曲げられ、潰された状態で倒れている相澤の姿
瞬間怜奈の目の前が真っ暗になり、奥底で燃える怒りとともに衝動のまま広場へと降り立つ。
「お兄ちゃんを、離して…!!」
「お前、さっきの」
奴…と言おうとした死柄木の言葉はそこで途切れた。
なぜなら彼女は既に脳無の目の前に立っていたから。
バッと目線をずらせば怜奈は"
脳無はドゴォッッ!!という音とともにそのまま吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた脳無に死柄木は目を見開くも彼女は相澤を抱えあげまた瞬時に出入口へと移動していた。
「なんだよ、今の……」
唖然としている死柄木だが、怜奈はまたクリスタルを発動させ13号と同じドームを相澤へと施した。
目元を潰されている相澤に顔を顰めながら横目で広場を確認すれば既に脳無は立ち上がりこちらを見ている。
行かなければ、とここに彼を近づかせないために応戦しようと怜奈が立ち上がろうとすればガッ!と腕が掴まれる。
掴まれた先を見れば、掴むのもやっとなはずなのに相澤がゼェゼェと息を乱しながらこちらを血だらけになった目元から見ていた。
「ぐッ…怜奈ッ逃げろ…!…行くなッ…」
「………ごめんね、消太先生」
守るって、決めたの
するりと優しく彼の手を外し、微笑みながらドームから抜け出す。
相澤はだめだといいながら再びその腕を掴もうとするが、それも叶わない。
思い通りに動かせない身体に、だんだんと前が赤で霞んでいく。薄れゆく意識の中小さくなる背中に腕を伸ばすも届かない。
(俺は、お前を守るために………!!)
無言でカツカツとヒールを鳴らす怜奈にその場の者達は視線を彼女に移す
「怜奈…?」
「怜奈、ちゃん?」
「……大丈夫だよ、みんな」
カツンッ
「先生達を……お願いね」
後ろを振り返り、いつものように笑う
大丈夫だと、思ってもらうために
安心させるために
怜奈のその姿に目を見開く彼らを一瞥すると、顔を正面に戻しそのまま一気に広場までへと駆け出していく。
─────彼の叫ぶ声にも気付かないふりをして