MHA中心
個性把握テスト〜戦闘訓練
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建物の中に入りオールマイトの位置を確認しようとしたその時、何かが猛スピードでこちらに来るのが感じられる
瞬時に背後を振り返れば目の前に拳が迫ってきていた
「"
風で拳の方向を少しずらし軽く避け彼の肩に手をつきとんっと飛び上がり背後をとる
"
オールマイトは思いのほか速いそのスピードに驚きつつも何とか追いつき腕をクロスさせ真正面から怜奈の拳を受け止める
「グッ!!!!!」
「ハァッ!!!」
だがその衝撃は思っていたよりもずっと強く受けた腕がじんじんと痛み出し、彼でなければ吹っ飛ばされていたことは確実だった
「つぅー流石だな!やるね!」
「負けないよ!」
「HAHAHA!行くぞっ!ヒーロー!!!」
それからはまさに神試合
2人のスピードは肉眼でギリ認識出来るほどの圧倒的な速さ
2人が拳を交わえばパンっと空気が割れる
生徒達はあまりのレベルに息を飲み誰一人として声を発することが出来ないでいた
「(攻防では埒が明かない…!テープを巻くよりもまずは核を狙った方が勝率が高い!!!)」
怜奈は1度オールマイトから距離をおく
オールマイトは怜奈が何かを仕掛けると体制を取り身構えている
「"
「なっ!これはっ!?」
"
普通ならば目を開けることは出来ないが発動した本人である怜奈には関係ない
オールマイトが光に目を取られている隙に"
そのまま怜奈が天井に向かって飛び上がり"
これを使えば壁などは彼女にとってはなんの弊害にもならない
"
だがその前にと、小さくある言葉を呟く
と同時にバァンッと階の扉が開かれる音がしそちらに目を向ければやはり、オールマイトがいた
「(あれだけの光を目に浴びたのに、やっぱり凄いな…!!)」
「効いたよあの光は!!!だが核は渡さないよ!!!!」
「わわっ!」
人間ロケットかのようにこちらに飛んでくるオールマイトを寸での所で避けると彼は核の前に立った
「さぁ来いヒーロー!!!」
「はぁい」
「………………ん??」
どこからか声が聞こえた
今目の前にいる怜奈は口を動かしてはいない。じゃあ一体誰が…と思いハッ!と後ろを振り向けば声の主はオールマイトが振り返ったと同時に核にタッチした
「え」
「"
すると今までオールマイトの前にいた怜奈はぽんっという音を立てて消えてしまった
「えっ………ぇぇえええええ?!」
勝てた!とぴょんぴょんと飛び跳ねる愛娘は文句なしに可愛いが何が起こったのか理解できないオールマイト
「ヒッヒーローWIN…」
ハッとしたようにそう呟き駆け寄ってきた怜奈を見た
「いっ今のは一体??」
彼女が説明するには部屋に来た時に彼女はもう対策をとっていたのだ
オールマイトが早く追いついた場合を予測し、身代わりを作っておいたのだと
案の定オールマイトは追いついたので自分の偽物に注意をひきつけ本体は天井で待機
オールマイトが核に背を向けたのを見計らって地面に降り立ち核に触れたというわけだ
「パーパと訓練できて嬉しかった!」
「いやぁこれは1本取られたなぁ!凄いぞ怜奈!」
声はあちらとは繋がっていないのでいつもの呼び方で褒めれば彼女は嬉しそうに笑う。
思わず怜奈を抱っこして高い高ーい!と回してしまったのは言うまでもない。←
モニタールームへと戻り講評を受けると、結果は上々。素早い対策と処置の速さで中々の高評価を八百万からいただいた
ちょっぴり恥ずかしくなり聞いていた最後は誤魔化すかのように笑ってしまった
「それじゃあ皆!お疲れさん!! 緑谷少年以外は大きな怪我もなし、しかし真摯に取り組んだ! 初めての訓練にしちゃ皆、上出来だったぜ!」
「相澤先生の後でこんな真っ当な授業…何か、拍子抜けというか…」
「真っ当な授業もまた私たちの自由さ! それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば。皆は着替えて教室にお戻り!!」
物凄い勢いで消えたオールマイトを見送り、更衣室へ行こうとすると呼び止められた
「怜奈ちゃんお疲れー!」
「まさかオールマイトに勝つなんてすげぇな!!てか神風の個性って何なんだ?なんかめっちゃやってたけど」
「ありがとう!戦闘の時のあれは手加減されてたから勝てたんだよ…うーん、私の個性はあとで話すね、ちょっぴり複雑で…」
「おう!また後でな!」
更衣室に移動すればみんなから凄かったよ!や素晴らしかったですわ!と言われて顔がにやけてしまう
「えへへっ…ありがとう」
「怜奈ちゃんも反省会参加するん?」
「うん!でも私、とりあえずみっちゃんの所に行って傷見てくるね!」
「そっか、わかった!」
「待ってるね〜」
「ありがとう!」
着替え終わり、戦闘服をたたんで専用のカバンに詰めこんでから更衣室を出た
保健室につきそっと扉を開けばそれに気づいたリカバリーガールが手招きをして怜奈を中へと招き入れる
「おばあちゃん、みっちゃんは…?」
「おや怜奈…まったく、この子も無茶するさね」
入学まもないのにもう3度目の大怪我にリカバリーガールがグチグチと言うのも無理ない
きっとパーパも色々言われたんだろうなぁと思うと苦笑してしまう
リカバリーガールに許可を取り、"
すると痛々しい腫れは引き、元の状態に戻っていくが今回は完全に治癒しなかった
それも無理をした彼へのせめてもの対抗心だ
無茶しないって言ったのに…と心の中でぷりぷりとしていると、目の前の緑谷がもぞもぞと動いた
「ん………あれ、怜奈ちゃ、ん?」
「うぅ……みっちゃんのバカぁ…」
「ええ!?デジャブ!!!」
思わずすんすんと鼻を鳴らせば緑谷は飛び起きて彼女を宥めようとあたふたする
「全く!何怜奈を泣かせているんだい?!ほら怜奈、ハリボーをお食べ!」
「んむっ……おいひぃ……」
「あれ、僕あのあと…」
「あんまり無茶するんじゃないさね。今回は怜奈も治療してくれたから、あまり疲労はないと思うけどね」
そういえば、体はほとんど疲労を感じてはいないと彼女のほうを見ればハリボーを食べながらこちらを心配そうに見ている
目が覚めたんならとっととお行き!と言われて怜奈と一緒に廊下を歩く。
並んで歩いていると、怜奈はぽつりとみっちゃん…と緑谷を呼ぶ
それに反応して慌てて何?といえば彼女は優しくこちらを見ていた
「何か、掴めた?」
白い小さな手が緑谷の手を掴んだ
優しくこちらを伺う彼女は夕日の光をうけ、キラキラと髪と瞳がオレンジ色に輝いている
その美しい光景に緑谷は胸が高鳴るのを感じながら正直、まだ良く分からないと本音をポロリとこぼすのに彼女は昔から人の本心を引き出すのがうまいと改めて実感した
「でも…このままなんて、絶対嫌だ。僕は掴みに行くよ」
そう決意を固めればそっかと彼女は笑ってくれたため自然と自分も笑みがこぼれる
「そう言えば怜奈ちゃんは訓練誰とやったの?」
「ふふっ…私ね、パーパとやったんだよ」
「…ぇぇえ!?オールマイトと!!?どっどうなったの?!」
「えっとね、」
戦闘訓練のときの話をすれば緑谷はフンフンと真剣に聞いていたが、みんなの訓練見たかったなぁ…と嘆く
「ならみっちゃん!私がそのV借りてきてあげるよ」
「えっ?!いいのっ!」
「うん!パーパに頼んであげるね」
「あっありがとう怜奈ちゃん!!」
彼女の言葉に若干涙目でお礼を言うが、確かにオールマイトや相澤先生とか怜奈ちゃんのお願い断れなさそうだもんな、なんて考えながら教室まであと少しという所で彼女があ、と声を漏らした
「どうしたの?」
「ごめんねみっちゃん、先入ってて!」
「えっ怜奈ちゃん?!」
突然離れた温もりを追うように緑谷が慌てて手を伸ばすも、怜奈は手を振りながら来た道を戻っていってしまった
走りながら怜奈が思うのは爆豪のこと
きっと彼は反省会には参加していないだろうし、それなら多分もう教室から出ている可能性が高い
教室から下駄箱までの道を急いで辿れば靴を脱いでる爆豪がいたため読みは当たったみたいだ
「待って、勝己くん!」
「!………怜奈か…」
「お疲れ様、勝己くん」
「……」
怜奈の言葉に爆豪は背を向けることはしないものの目線を合わせず、下を向いたままだった
怜奈は爆豪へと歩み寄り彼の手を両手で握る
爆豪は一瞬ビクリと反応したが、振りほどこうとはせずされるがままだった
未だ目線はあってはいないが怜奈は構わず言葉を紡いだ
「勝己くん…勝己くんは、すごい人だよ。強くて、自尊心も高い…誰にでも持てるものじゃない
…けどその凄さは今のままじゃここで成長を止める」
「……!」
「勝己くん、周りを見渡してみて……今日の戦闘訓練で、勝己くんの中の世界はもっと広がれること…あらためて感じたんじゃないかな…?」
「ッッ俺は……!」
さらに手に力を込める
大丈夫だと、怖がらないでと
「勝己くんの力は挫折なんかじゃ折れないでしょう?私は、あなたに前を向いて欲しい…
────あの時から私は、勝己くんが強い人だと誰よりも知ってる」
その言葉に今度こそ爆豪は目を合わせた
夕焼けによって染まったオレンジはキラキラと輝き彼の赤く燃える瞳と交わり会う
「強くなれる。きっと…大丈夫、絶対に、大丈夫だよ」
「……俺は!」
「………うん」
「俺はっ!…絶対ェ誰よりも強くなって、誰にも負けねぇくらい強くなって!!!お前をっ…怜奈を…!!
1番近くで守れるヒーローになりてぇッッ…!」
浮かぶのは幼い時の記憶
初めてそう宣言してくれたのはまだ自分たちが保育園にいた頃だった
彼はいつも言ってくれた
"怜奈のことは、俺が守ってやる!"
そして事件から別れたあの日も、爆豪は泣きながら言った
"怜奈が傷つくことなんてないように俺がお前のヒーローになるから!!"
そう、言ってくれた
彼の宣言はあの日から変わらぬまま
それがとても嬉しくて思わずふふっと笑えば、彼の表情も柔らかくなった
「……今は待っとけ。すぐになってやらぁ」
「うん、ありがとう勝己くん…でも勝己くんがヒーローになったその時は私も隣にいるよ──ヒーローとして!」
再びオレンジに染まった瞳を彼に向ければ、彼は満足そうに顔を歪めた
「ふんっそうかよ…」
怜奈が爆豪の手を離すと爆豪は彼女の頭を優しく撫でる
撫で終わると爆豪は歩き出した
もう彼は大丈夫。
怜奈が踵を返せば前方からもう1人の幼馴染が走り寄ってきた
かっちゃんは?!という彼にさっき出ていったばかりだよ、と答えれば緑谷はお礼を言って爆豪を追いかけて行った
2人の幼馴染を見送り、今度こそ怜奈は教室へと足を進めた。