「うそ…保乃ちゃん？」


大学時代の友人の結婚式
綺麗やなーなんて思ってうるうるしそうになってたら、背中から懐かしい声が聞こえた。

振り向くと、高校時代同じクラスで仲が良かった麗奈ちゃんがいた。

ずっと、いや、未だに保乃が忘れられてない人。


「麗奈ちゃん…」


髪も茶髪に染めて、大人っぽくなって、めっちゃ綺麗になってる…


「久しぶりだね！保乃ちゃんすごく綺麗になってるから話しかけるの躊躇しちゃった！」


それ、保乃が先に麗奈ちゃんに言いたかったやつ。


「なんで躊躇うねん。麗奈ちゃんもめっっっちゃ綺麗やで！」


良かった、言えた。
先は越されたけど。

卒業してからお互い全然連絡を取ってなくて、積もる話がありすぎる。
二次会も隣の席に座ってずっと麗奈ちゃんとお話ししちゃってた。

だけど代わる代わるいろんな人が話しに来て、あっちを相手したりこっちを相手したり。
これも麗奈ちゃんがモテるから。


会話の流れが途切れたタイミングで
肩をトントンと叩かれる。


「ねえ保乃ちゃん、2人で抜けちゃおっか」


なんでそういう誘い方するかな。


「うん」


断る理由なんて何もない。

人懐っこそうに見えて、全然人に興味ないもんな。
昔から変わってない。
そういう所、好き。



「おじゃまします…」
「ふふ、どうぞ〜」


麗奈ちゃんの家のが会場から近かったから、コンビニでお酒を買って飲み直すことになった。

物は多いけど綺麗に整理されてて、白が基調の女の子らしい部屋。
ディフューザーとか、市販のものじゃない甘い香り。


「なんか緊張してる？」
「してへんよ！」


してない。自分に言い聞かせる。

保乃だけかもしれないけど若干お酒の力を借りながら、お互いに昔話に花が咲く。




「保乃ちゃん、結構飲んでるでしょ？大丈夫？」


「大丈夫やって、保乃はな？今めちゃくちゃ嬉しいねんで？」


「そうなの？」


話聞きながらこっそりお酒を保乃から遠ざけてるのバレてるから。


「やって何年ぶり？麗奈ちゃんに会えてほんまに嬉しい。めっちゃ綺麗になっとるし。でも好きやったとこは変わってへんし」

「え？」

「保乃、麗奈ちゃんのことずっと好きやってんで？知らんかったやろ？」

「うそ…」


ん？

やってしまった


「ご、ごめん！今の忘れて！」

「麗奈は今も好きだよ」

「え…うそやろ…」

「ほんと。教室で隣の席になった時からずっと好きだった。」


嘘じゃないよって、まっすぐ保乃の目を見て伝えてくれる。


「夢みたい…」

「夢じゃないよ。保乃ちゃんは？」

「大好きです」



あ、ここからの言葉は絶対に先越させない。



「保乃の彼女になってください」



「ずっと待ってた」


目に涙を浮ばせながら、麗奈ちゃんが保乃に抱きつく。


「保乃ちゃんも麗奈の彼女」


なんて嬉しいことを言ってくれるんだ
麗奈ちゃんを強く抱きしめ返す


「幸せ…」


麗奈ちゃんは涙を流しながらそう言った。








おまけ


「保乃はずっと麗奈ちゃん一筋やってんで？麗奈ちゃんが彼氏作っとる間も！」
「麗奈が保乃ちゃんのこと好きになってなかったらどうしてたの？」
「麗奈ちゃんよりも好きになれる人を待っとったかも」
「麗奈よりいい人なんてこの世にいないよ♡」
「その通りやけどなんか腹立つな」




「麗奈ちゃんずっと彼氏おったけど1人の人とはそんな長続きしてへんかったよな？」
「色んな人と付き合ったら保乃ちゃんのこと忘れられると思ってたけど無理だった」
「保乃よりええ人おらんもんな！」
「…」
「いたっ！無言で殴らんで！」