社会人と高校生


なんか元気ないですね?
あらら、ケンカしちゃったんですか?
大丈夫です!ケンカをすればするほど愛は深ま…過去1?
それは不安になりますよね。
この前麗奈さんに会った時は普通でしたけどね。
ああ、結構駅で会うんですよ。
ばったり。
何か言ってたかって?
うーん、寝坊とかよくするタイプなの?って聞かれましたよ。
いや、怒ってるってよりかは心配してる感じでした。
天さんが寝坊なんて珍しいじゃないですか、しかもデートの日に。
抉らないでって?まあどんなにしっかりしてる人でも寝坊はありますよ!
麗奈さんがそんなことで怒る人だとは思えませんから、でもまあ何度もやってたら怒るかも?
うーん、私が麗奈さんに会ったのも少し前ですからね。
幸阪は私よりもまめに連絡取ってるみたいですよ!
それより天さん、どっちが遠くに靴飛ばせるか勝負しません?
夜の公園は遊具使いたい放題で最高ですね!


ーーーーーーーー


どれにする?
ポテト?まりのパフェにするから半分こせえへん?
えへへ、ありがと。
麗奈さんやんな?
ケンカしとるんやって?
綺良ちゃんに聞いたで。
うん、よくLINEする。
天ちゃんへの愚痴みたいんは聞いたことあらへんけどなぁ。
気なんか使ってへんよ。
ほんと。
LINE見せれるもん。
うーん、なんやろなぁ。
天ちゃんスパダリやしな。
怒らせることめったにしなそうやし…
…あ、指輪麗奈さんとお揃いで買ったんやってー?
めっちゃラブラブやん。
…ごめんて。
今日はちゃんとしとるんや。
指輪。
デートの日に指輪し忘れたことあるやろ?
麗奈さんちょっとしょんぼりしとったで?
天ちゃんにしたら珍しいなぁ。
…………もしかしてこれが原因……?
でもうっかりは誰にでもあるで。
そんなにしょんぼりせんでよ。
あ、ありがとうございます。
ほらポテトきたから食べよ。
あ!一昨日麗奈さんと玲ちゃん飲みに行ったって言っとったよ。
玲ちゃんならなんか聞いとるかも。
……ん?大園さんだよ。大園玲やん。名前。
みんなで遊びに行ってから仲良くなった。
うん、よく2人で遊ぶ。
まりのの話はええから!
絶対大丈夫やって。
麗奈さんめっちゃ大人やし、天ちゃんのことめっちゃ大好きやもん。
うん、絶対大丈夫。
まりのが保証する。
天ちゃん元気出して?な?
なあこれ食べ終わったらガチャガチャしに行かへん?


ーーーーーーー

あれ、今日はゲームしないの?
珍しいじゃん。
いま麗奈さんとケンカ中なの?
本当?チャンスじゃん。
告白しちゃおっかな〜…
……ってちょっと!
泣かないでよ!いつもの冗談じゃん。
ごめんって天ちゃん。
………落ち着いた?ごめんね?
ああうん、一昨日飲み行ったよ。
ケンカ中なのも知ってた。
何か言ってたかって?
…まあ、かなり酔ってたね。
天ちゃん記念日忘れてたでしょ。
付き合って初めての記念日でしょ?
ちょっとひどいんじゃない?
でも麗奈さんも大人だから天ちゃんがめちゃくちゃ忙しいって知ってるよ。
専門大変なんでしょ?
バイトも深夜にしてるって。
ああ、鼻かんで。ほらティッシュ。
麗奈さんが大人なのは天ちゃんが1番よく知ってるでしょ?
ほんと、君みたいなガキンチョには勿体無いくらい素敵な人なんだから。
そういえば体調大丈夫なの?
復活した?
うわぁ、40度はきついわ。
移さないでね?
移る系じゃないって?
それも麗奈さんに聞いてた。
……痛っ!スネだから!
暴力できるくらいには元気そうでよかったよ。

大好きな麗奈さんでしょ?
大丈夫だよ。
天ちゃんのいいところは直球ストレートなとこでしょ。

ほら、こんなとこで私と話してても解決しないよ。
行ってきな。
骨は拾ってあげる。


ーーーーーーーーー


「あああああーーーー」
天に向かって叫ぶ。


今まで軽い?ケンカはあった。
でも1日ですぐに仲直りできるくらいの本当に軽いやつ。
でも今回は違う。
1週間も麗奈と連絡を取ってない。


「もういい加減にして」


麗奈から放たれたその言葉が未だに頭から消えない。

あんな顔の麗奈見たことなかった。

でも正直どれが麗奈を怒らせてしまったのか分からなかった。

だって全部私が悪いんだもん…

今から行くね

それだけ麗奈にLINEして歩みを進めた。
返事は怖くて見てない。

1メートル進むのに15秒くらいかけながら着いた麗奈んち。

麗奈に嫌われちゃったかな…
嫌われた…よな…

鉛でも乗ってるのか?ってくらい重い右腕で麗奈のマンションのインターホンを押す。

しばらくして
『…はい』
麗奈の声がした。

「天です…」

『入って』

「はい」

重い足取りで階段を登る。
玄関のインターホンを押すと、麗奈が出迎えてくれた。

「なんか久しぶり?」

中入りなよ、と部屋の中に通してくれた。

怒って…ない?…のかな?

「そりゃそっか、ケンカ中だもんね」

前言撤回めちゃくちゃ怒ってる。
もう顔が怒ってる。
話し方も怒ってる。

うううう

「麗奈、あの、」

「天ちゃん」

「はい」

「大事な話する時はくっつきながらって約束したでしょ?

おいで」

ソファに座った麗奈は両手を広げて私を待つ。

「はい」

麗奈の隣に正座すると、麗奈が私を引き寄せて、麗奈に抱かれる体勢でソファに横になった。

気まずいはずなのに、麗奈はいいにおいだし、ドキドキしてしまう自分が嫌になった。


「麗奈怒ってるよ」

「はい、本当に申し訳ございませんでした」

「何に怒ってるか分かってないでしょ」

「う…」

「分かってないのにとりあえず謝るところ、いやだなぁ」

「ご、ごめんなさい、でも、本当にわかんなくて」

「うん」

「みんなに聞いたけど全部私が悪くて、麗奈が怒っても仕方ないと思ってる。本当に本当にごめんなさい。わからなくて、ごめんなさい」


やばい、泣きそう。


「みんなに聞いたって、どんなこと?」
「うう、デート寝坊したりお揃いの指輪つけ忘れたり記念日忘れたり…したこと」
「ああ!そんなこともあったね」
「ええ、ちがうの?」
「違うよ」

麗奈は声色は明るいけど、顔は全く明るくない。
真っ直ぐに私の目を見ている。

「わかんない?」
「わかりません」
「天ちゃん熱出したでしょ?」
「はい」
「専門入って2回かな、たしか。40度くらいの」
「やってます」
「一回点滴打ったよね」
「打ちました」
「過労って診断されたよね」
「されました」
「麗奈休んで、お願いだからって、言ったよね」
「言いました」
「天ちゃんは?」
「いけると思いました。いけませんでした」
「また熱出したよね」
「すみませんでした!!!!!」


起き上がってソファから降りて土下座した。

「まだ怒ってるよ麗奈」
「どうしたらいいですか…」
「自分で考えてみて」
「ちゃんと休みます。バイトもほどほどにします。元気もりもり天ちゃんになります」
「ふふ」

あ、麗奈笑ってくれた。

「約束ね?無理しない。ちゃんと休む。あとちゃんと麗奈の言うこと聞いて」

「はい!約束します!」

「じゃあ、仲直りのぎゅー」

「ぎゅー」


よかった、本当によかった、仲直りできた、よかったぁ

「あ、天ちゃん手貸して」



麗奈に両手を差し出すと右手の中指に付けてる麗奈とのペアリングを取られた。

ちょっとまってて〜と
麗奈がクローゼットをゴソゴソしている。

なんだろう?と疑問に思ってると麗奈が戻ってきた。

首に腕を回される。

「でーきたっ
天ちゃんはこっちの方が忘れないでしょ?」


麗奈は指輪にチェーンを付けて、首に付けてくれた。

「うん!麗奈ありがとう!!」

どうしようめちゃくちゃ嬉しい

「麗奈」

「んー?」

「麗奈大好き」


「麗奈も天ちゃん大好きだよー

あ、元気な天ちゃんも、どんな天ちゃんも好きだからね」


麗奈がそんなこと言うもんだから、泣いてしまったじゃないか。
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