番外編

 
「そういえば大園ちゃんって誕生日いつなのー?」
「今日です」
「え!?!?」
「え?」
「言ってよ!今日空いてる!?」

職場の何気ないやり取りから、誕生日の今日、麗奈さんのうちにお邪魔することになった。
本当に本当に嬉しい。


でもね、何となくオチは分かってるんだ。


「何でいるの?」
「麗奈に頼まれたからに決まってんだろ!」

仕事終わりに麗奈さんのうちに2人で行くと、100均で買ったであろう誕生日の飾りつけをしてる天ちゃんがいた。

「もっと事前に言ってくれないと困るんですけど!?」
「あ、祝ってはくれるんだ」

どうやら今日は私の好物のお好み焼きを振る舞ってくれるらしい。

「大園ちゃーん、こっち手伝ってもらっていいー?」
「はーい!」

キッチンに呼ばれて、お好み焼きの生地をかき混ぜるお手伝いをする。
髪を束ねてエプロン姿で手際よく具材を切る麗奈さんは本当に素敵。
この姿の麗奈さんを見れただけで過去最高の誕生日であることは間違いない。


「天ちゃん今日空いてたんですか?がっつり準備してくれてますけど」
「そう!たまたまね!よかったよー」
「文句言ってなかったですか?」
「は!?今日!?って言ってたよ」
「まあ、そうなりますよね」
「サプライズとかしたかったのに!って怒ってた」
「あ、そっちなんだ」
「まったくもー大園ちゃんは!もっと事前に言ってくれないと困るよー」
「カップルで同じこと言わないでくれます?」


リビングにお皿を置きに行くと、飾りつけを終えた天ちゃんが配置を確認していた。


壁に紙で
【HAPY BIRTHDAY】
と貼ってある


「天ちゃん…これP足りないよ」
「予備だと思ってた…今天ちゃんの右手にPあるもん」
「あっははwwハピーバースデーww」
「もう!うるさい!」

天ちゃんと戯れてると、麗奈さんがホットプレートを持ってきてくれた。

そのあとは3人でわいわいお好み焼きを食べた。
麗奈さんが作ってくれたお好み焼きは食べるのが勿体無いくらいおいしかった。


「お腹いっぱいですー、麗奈さん本当にありがとうございます。大好きです」
「いえいえー、そんなにお好み焼き好きだったんだね!」
「いや、あの、ちがくて、麗奈さんが」
「おい!!!口説くな!!!」

すごい速さで食器を洗い終わった天ちゃんが部屋に戻ってきた。

ちっ

「今日はありがとうございました、明日も仕事なのでこれで」
「大園ちゃんまあまあ」
「大園まあまあまあ」
「何?」

麗奈さんが立ち上がり、クローゼットから紙袋を取り出す。

「大園ちゃんおめでとうー!」
「え!?なんですかこれ!」
「プレゼント〜」
「めちゃくちゃびっくりしてます…開けていいですか?」
「もちろん!」

紙袋を開けるとハンカチが入っていた。

「え!かわいい!ありがとうございます!」
「会社でも使ってね♡」
「はい!!」

ちょっといいハンカチだ
色がオフホワイトで可愛い
好きなデザインだ

紙袋を覗き込む天ちゃん

「それ麗奈が選んで天ちゃんが買った」
「だよね?ありがとね天ちゃんも」

そう言って頭をぐしゃぐしゃに撫でると
やめろっと振り解かれた。

「これ私から」

天ちゃんから移し替えたであろうポケモンセンターの袋を差し出される。

「おお…」

中身は私が会社でよく噛んでる辛いガムと辛いタブレットがたくさん。
あと唐辛子やらブラックペッパーやらも入っていた。
お高いケチャップも入ってる。

「なにこれ」
「麗奈から聞いた大園の好物てんこ盛りセット」
「1番嬉しいかもしれない、ありがとう」


たくさんたくさん2人にお礼を言い、麗奈さんの家を後にした。

こんなふうに誕生日を祝ってもらうの久しぶりだったから楽しかったな。

今度2人の誕生日も聞こーっと。
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