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Happy Birthday For…

普段なら朝早くから起きてロードに乗っているが、今回は日本にロードは持ってきていない。
それに勧められるまま夜中まで食事をしていた二人は、時差ボケ気味の体を睡眠で癒していた。
夜明けから数時間が過ぎた頃、枕元に置いていた御堂筋の腕時計が『ピピピ』と短い音で鳴る。
目を覚ました御堂筋は日本時間に直していない腕時計を窓から入り込む陽の眩しさに細めた目で確認してから布団を抜け出し、傍らにある坂道のベッドに座った。
軋むベッドの音に御堂筋は肩を竦めたが、坂道は幸せそうな寝顔をして眠っている。
高校生の時より少しばかりは大人びた顔になったと思っていたが、アニメのポスターやフィギュアに囲まれて眠る坂道の寝顔は出逢った頃と変わりなく、それを本人に言ったら口を尖らせて拗ねるだろうが、御堂筋はつい笑ってしまった。
本当は陽を浴びた方が時差ボケは治るというが、この寝顔を見ていたいし、今日位は寝かせてやろうと思う。
御堂筋は坂道の頬を撫でると、起こさないように坂道にそっと口付ける。

「誕生日おめでとう」

声を出さずに呟いた御堂筋の腕時計は、3月7日、午前0時を指していた。



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