靴音
「ヒーメヒメ♪」
鼻歌を歌いながらアニメを見ていても、その音だけは何故だかいつも聞き漏らさない。
マンションの下から聞こえる、ビンディングペダルから外したクリートが地面に付く音。
僕はその音を聞くとDVDを止め、真っ暗な玄関にあかりを灯す。
この時間はドキドキするから大好きな時間。
その独特の靴音が玄関の前で止むと、僕は待ちきれずドアを開ける。
「おかえりなさい!」
以前コレをやったら、開けたドアが御堂筋くんの大事なデローザに当たってしまいこっぴどく怒られたけど、それから御堂筋くんは僕がドアを開ける事を想定して開閉部分から自転車を避難させてくれるから、僕は性懲りもなく勢いよく開けている。
案の定、今日も御堂筋くんはドアの前でデローザを守る様に立ちはだかっていた。
「当たったらどーするん?」
それは御堂筋くんの『ただいま』だと、僕は思ってる。
だって、当たらないように避けてくれてるのに、毎日言うから。
デローザを玄関の中に入れ、ボクのロードに並べ終わる頃を見計らって、僕は両手を広げて御堂筋くんにハグを求めてみる。
「めっちゃ汗かいとるからあかん」
それは御堂筋くんの『お腹空いた』だと、僕は思ってる。
だって、お腹が空いてない時は汗をかいていようが僕を抱き締めて、ついでにシャワーを一緒に浴びようとするから。
カシャンと少しばかりの音を立て、玄関にシューズを揃えた御堂筋がお風呂に向かうのを横目に見ながら、僕はキッチンに向かって作っておいたお味噌汁を温めつつ、フフ…と笑ってしまった。
僕、だいぶ理解したな…御堂筋くん語。
END
鼻歌を歌いながらアニメを見ていても、その音だけは何故だかいつも聞き漏らさない。
マンションの下から聞こえる、ビンディングペダルから外したクリートが地面に付く音。
僕はその音を聞くとDVDを止め、真っ暗な玄関にあかりを灯す。
この時間はドキドキするから大好きな時間。
その独特の靴音が玄関の前で止むと、僕は待ちきれずドアを開ける。
「おかえりなさい!」
以前コレをやったら、開けたドアが御堂筋くんの大事なデローザに当たってしまいこっぴどく怒られたけど、それから御堂筋くんは僕がドアを開ける事を想定して開閉部分から自転車を避難させてくれるから、僕は性懲りもなく勢いよく開けている。
案の定、今日も御堂筋くんはドアの前でデローザを守る様に立ちはだかっていた。
「当たったらどーするん?」
それは御堂筋くんの『ただいま』だと、僕は思ってる。
だって、当たらないように避けてくれてるのに、毎日言うから。
デローザを玄関の中に入れ、ボクのロードに並べ終わる頃を見計らって、僕は両手を広げて御堂筋くんにハグを求めてみる。
「めっちゃ汗かいとるからあかん」
それは御堂筋くんの『お腹空いた』だと、僕は思ってる。
だって、お腹が空いてない時は汗をかいていようが僕を抱き締めて、ついでにシャワーを一緒に浴びようとするから。
カシャンと少しばかりの音を立て、玄関にシューズを揃えた御堂筋がお風呂に向かうのを横目に見ながら、僕はキッチンに向かって作っておいたお味噌汁を温めつつ、フフ…と笑ってしまった。
僕、だいぶ理解したな…御堂筋くん語。
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