鏡
告白は坂道から…という事になっている。
「キミ、ボクのこと、好きなん?」
そうボクが問うと、坂道は顔を真っ赤にした。
ボクは背の低い坂道の顔を覗き込むと、一連の動きの様にキスをする。
それが初めてのキスだった。
それは二人にとってでもあり、ボクにとっても。
多分坂道にとっても。
その証拠に坂道は呆然として、ボクを見上げていた。
「え…僕、御堂筋くんの事…好きなの?」
「いや、だからそれを聞いとるんよ。普通こんなんされたら避けるなり叫ぶなり突き飛ばすなりするんよ。ところがキミは何しとるの?それともキミは誰にでもこんな事させるの?」
多分キスをした時点で坂道の頭の中のコンピューターはフリーズしてる。
そこに矢継ぎ早に言えば、バグみたいな物が起こるのは予想していた。
「そっか。僕、御堂筋くんが好きなんだ」
坂道は納得したように真っ直ぐな目でボクに言って、坂道からの告白の出来上がり。
こうしてボクと坂道の付き合いは始まった。
坂道がかつての主将・金城のいる洋南大学への進学を考えている事は知っていた。
金城本人に連絡を取っていたり、オープンキャンパスに行ったりとしていたから。
だから、ボクは釘を刺す。
「大学はボクと同じとこに行くんよ?」
「え?」
驚く坂道に手招きすれば、素直に寄ってくる。
ボクは坂道を膝に乗せると、また一連の動きの様にキスをする。
「キミは誰のことが好きなん?誰と居るときが一番楽しいん?誰と一緒に走りたいん?」
また矢継ぎ早に聞くと、坂道は答える。
「御堂筋くん」
坂道は自分の中に埋め込まれたバグに、いつか気が付いてしまうのだろうか。
ボクはそのバグに気が付かれないように、ずっとそばに居て、監視をしていなくてはならない。
そうじゃないと、この歪んだ関係が壊れてしまう気がしていた。
「せやから、ボクと同じとこでえぇんやないの?」
坂道は、その言葉に少し考え込んでからボクを見上げ、ふとぎこちないキスをしてくる。
受け身の坂道が自らキスをしてくるのは初めてのこと。
「御堂筋くんは僕のこと嫌いじゃないよね?キスしても嫌がらないから」
その言葉にボクは呆然とする。
いつもこちらからキスする相手にキスをされても嫌だと思う訳もない。
嫌いな奴にキスなんてしない。
「僕と一緒にいて楽しくない?僕と一緒に走りたくない?そうじゃないなら、御堂筋くんが僕と洋南大学に行ってもいいんじゃないの?」
矢継ぎ早に言われ、ボクの頭は真っ白になった。
「…せやね」
真っ白な頭のまま、ふわふわと何か返事をした気がする。
目の前の坂道は笑顔になって、ボクは自分が答えた事を遅れて認識した。
バグは、ボクの中にも入り込んでいた様だ。
「誰にも、こんな事させないでね?」
そう呟いた坂道はボクを真っ直ぐ見て、向き合う形になったボクと坂道は、ただ真っ直ぐお互いを見ていた。
そして、どちらからともなくキスをする。
お互いに入り込んだバグは増殖を続け、合わせ鏡の様に延々と飽きる事なく続く気がした。
END
「キミ、ボクのこと、好きなん?」
そうボクが問うと、坂道は顔を真っ赤にした。
ボクは背の低い坂道の顔を覗き込むと、一連の動きの様にキスをする。
それが初めてのキスだった。
それは二人にとってでもあり、ボクにとっても。
多分坂道にとっても。
その証拠に坂道は呆然として、ボクを見上げていた。
「え…僕、御堂筋くんの事…好きなの?」
「いや、だからそれを聞いとるんよ。普通こんなんされたら避けるなり叫ぶなり突き飛ばすなりするんよ。ところがキミは何しとるの?それともキミは誰にでもこんな事させるの?」
多分キスをした時点で坂道の頭の中のコンピューターはフリーズしてる。
そこに矢継ぎ早に言えば、バグみたいな物が起こるのは予想していた。
「そっか。僕、御堂筋くんが好きなんだ」
坂道は納得したように真っ直ぐな目でボクに言って、坂道からの告白の出来上がり。
こうしてボクと坂道の付き合いは始まった。
坂道がかつての主将・金城のいる洋南大学への進学を考えている事は知っていた。
金城本人に連絡を取っていたり、オープンキャンパスに行ったりとしていたから。
だから、ボクは釘を刺す。
「大学はボクと同じとこに行くんよ?」
「え?」
驚く坂道に手招きすれば、素直に寄ってくる。
ボクは坂道を膝に乗せると、また一連の動きの様にキスをする。
「キミは誰のことが好きなん?誰と居るときが一番楽しいん?誰と一緒に走りたいん?」
また矢継ぎ早に聞くと、坂道は答える。
「御堂筋くん」
坂道は自分の中に埋め込まれたバグに、いつか気が付いてしまうのだろうか。
ボクはそのバグに気が付かれないように、ずっとそばに居て、監視をしていなくてはならない。
そうじゃないと、この歪んだ関係が壊れてしまう気がしていた。
「せやから、ボクと同じとこでえぇんやないの?」
坂道は、その言葉に少し考え込んでからボクを見上げ、ふとぎこちないキスをしてくる。
受け身の坂道が自らキスをしてくるのは初めてのこと。
「御堂筋くんは僕のこと嫌いじゃないよね?キスしても嫌がらないから」
その言葉にボクは呆然とする。
いつもこちらからキスする相手にキスをされても嫌だと思う訳もない。
嫌いな奴にキスなんてしない。
「僕と一緒にいて楽しくない?僕と一緒に走りたくない?そうじゃないなら、御堂筋くんが僕と洋南大学に行ってもいいんじゃないの?」
矢継ぎ早に言われ、ボクの頭は真っ白になった。
「…せやね」
真っ白な頭のまま、ふわふわと何か返事をした気がする。
目の前の坂道は笑顔になって、ボクは自分が答えた事を遅れて認識した。
バグは、ボクの中にも入り込んでいた様だ。
「誰にも、こんな事させないでね?」
そう呟いた坂道はボクを真っ直ぐ見て、向き合う形になったボクと坂道は、ただ真っ直ぐお互いを見ていた。
そして、どちらからともなくキスをする。
お互いに入り込んだバグは増殖を続け、合わせ鏡の様に延々と飽きる事なく続く気がした。
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