secret smell
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2人きりになるチャンスがなかったわけじゃない。
2人でいるのはとても心地よくて、楽しくて
サンジくんはいつも優しかったし
何も不満はない。
はずなのに…
サンジくんが触れてくれないことを
寂しいと思ってしまう。
自分から拒否しておいて、勝手にもほどがある。
あの時の暖かい手の温もりを、掌が求めている。
私がいつも受け身でいるから
サンジくんに我慢をさせてしまっているんだ。
でも、自分から手を繋いだり、抱き付いたり
ましてやキスなんて
私にできるのか。
今日も、いつものようにキッチンに2人きり。
ダイニングにも誰もいない。
少し、勇気を出してみたかった。
彼の手を握る…
なんてことはできなくて
ギュッとシャツの裾を掴んだ。
それが精一杯だった。
「ミドリちゃん?どうした?」
いつもと様子が違うと感じたのか
心配そうに顔を覗き込まれる。
シャツを掴んだのはいいけれど
ここから何て伝えたらいいのかわからない。
「あの…ごめん……」
「ん?」
「やめてって言ったけど……
やっぱり、触って欲しい…かな……」
恥ずかしい。
すごく恥ずかしいこと言った、今。
「………」
サンジくんの口から
タバコがポロッと落ちた。
「うわっ、悪い!当たらなかったか?」
「うん、大丈夫。」
慌てて拾ったタバコを灰皿へ押し付けると
サンジくんは改まって私を見つめる。
「えっと、今言ったこと、本当か?」
「うん…嘘じゃないよ……」
「触ってほしいって……」
「うん……サンジくんに……」
言いながらだんだんと声は小さくなってしまうし
目が見られなくて俯いてしまうし
本当に私は、どうしてこうなんだろう。
ちゃんと伝えたいのに。
そんな私の頬を
サンジくんの両手が優しく包む。
「……キスもいいのか?」
返事の代わりに、目を閉じる。
瞼が震える。
顔が熱い。
触れられている頬が熱い。
心臓がうるさい。
すごく恥ずかしい。
でも、嬉しい。
触れられていることが嬉しい。
こんなところじゃ、誰かに見られちゃうかも。
でも、鼻をくすぐるタバコの香りに
そんなことはどうでも良くなってしまう。
サンジくんの顔がすぐそばにあって
きっともうすぐ、唇が触れる。
——と、その時
「おーい!メシまだかー!?」
突然響いたルフィの大声と開いたドア。
途端に離れる2人。
「タイミング悪ィな、船長……」
サンジくんは悔しそうに頭をガシガシと掻き
途中だった調理をまた始めた。
その様子が愛しくて
私は思わず笑ってしまった。