最終章 〜別れとはじまり〜
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あれからミドリは
あまり診療所へ来なくなった。
来ても午前の診療を終えると
すぐに家に帰る。
俺といるのが気まずいのもあっただろうが
一番の理由は
ばあちゃんが寝たきりになったからだ。
俺も毎日往診の最後にばあちゃんの所へ行って力を使ってきたが、それでももう追いつかないくらい、病気が進んでいた。
「明日からしばらく来なくていいよい。」
午前の診療を終えて帰ろうとする
ミドリに声をかけた。
「なるべくそばにいてやれ。」
荷物を肩にかけながらミドリは俯いた。
「……やっぱり、もう長くないんですか?」
その声は震えていた。
「起きてる時間も短くなってきたし、ごはんも食べてくれないし……もう、どうにもできないんですか?」
その震える肩をすぐにでも抱き締めたかったが
そうしたところでばあちゃんが元気になるわけでもねェ。
ミドリの心が救われるわけでも。
「すみません。明日からしばらくお休みします。」
「あァ。毎日様子を見に行く。」
「ありがとうございます。」
無理に笑顔なんか作るんじゃねェ。
俺は自分の無力さに
拳を握るしかできなかった。