第四章 〜縮めては遠くなる〜
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「ヨンジ様?どうされたんですか?」
ここ最近は、本当に穏やかだったので
ここまで怒っているヨンジの姿は珍しかった。
「ヨンジ様……」
「………」
ミドリの問いかけに何も答えないまま
自分の部屋のドアを開け中に入ると
カチャリ、と鍵をかける。
どうして鍵なんて…
ミドリが考える間も与えず、掴んだ腕を引き
ヨンジの大きなベッドへと乱暴に放った。
「いたっ……」
その身体を跨ぐように、ヨンジも上に乗る。
手首をベッドへ押さえつけながら
額と額が触れそうなほどに顔を近づけた。
「この淫乱女。」
「えっ……?」
ヨンジらしくない、低く地を這うような声が
耳に響いた。
身に覚えのないことだったが
自分に対して怒っていることだけはわかった。
どうして?
どうしてこんなこと…
やはり考える間もなく、ヨンジは
ミドリの胸、膨らみと膨らみの真ん中へ
自分の顔を押し付ける。
「なっ……!!」
「っ……フゥー……」
目を閉じ、吐き出した息を深く吸い込んで
その感触を味わう。
ヨンジの身体はすぐに熱を持ってきた。
ミドリの腕を抑える手を片方だけにし
空いた手で身体中を撫で回す。
「ヨンジ様!いや!やめてくださ——」
唇を塞がれる。
「んんっ!!」
なんとも無理やりで、乱暴な口付けだった。
抑えられた腕はぴくりとも動かない。
思い切り顔を逸らすことでそのキスから逃れると
今度は首筋や胸元に舌を這わせてくる。
ぬるりとした感覚に身体が強張った。
ミドリの抵抗も虚しく
ヨンジは我を忘れたようにその肌に溺れ
制服であるロングスカートの裾を手繰り寄せ
露わになった太ももにするりと指を滑らせた。
「はァ……はァ……」
ヨンジの荒ぶる吐息を全身に受けながら
目を閉じていることしかできなかった。
どうしてこんなことに…
私が何をしたっていうの…
「ヨンジさま…やめて……」
自分の声が耳に入っているようには思えず
ミドリはそれ以上懇願することをやめた。
もう、あんたの好きにすればいい。
私たち家来のことを
人間とも思っていなかったような人が
少しずつ変わってきてくれていると思ってたのに
結局はこうして力でひれ伏して
自分の欲望のままに相手を痛めつける
やっぱり最低な男だった。
ミドリの身体は全身の力が抜けたように
抵抗がなくなり、ヨンジはふとその手を止めた。
見ると、ギュッと強く目を閉じて
ヨンジの行為にただただ耐えていた。
閉じた目尻から一筋の涙が流れ、シーツを濡らす。
「………」
腕を抑えるヨンジの手が緩んだ瞬間
ミドリはベッドと彼の間から抜け出した。
ヨンジはもう、それを制することはしなかった。
「……いいところもあるかもって思ってたのに……やっぱり、あなたなんて大っ嫌いです。」
涙を流し、声を振るわせ
悲しみと怒りが混じったような表情だった。
乱れた服を整え、髪を直しながら
ドアを開けて飛び出し、ミドリは姿を消した。
残されたヨンジはベッドに仰向けに寝転び
フゥーと長く息を吐きながら、両手で顔を覆う。
「…クソ……」
そのまま開いた手のひらを見つめた。
まだ、ミドリの感触がしっかりと残っている。
思った以上に、柔らかかった。
嗅いだこともないようないい香りが脳を刺激して
手を止められなかった。
こんなこと、するつもりじゃなかった。
——そんなにお前の大事なモンだったのか
大事に…してみたかった。
泣かせるつもりじゃ、なかったんだ。