第四章 〜縮めては遠くなる〜
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第四章 〜縮めては遠くなる〜
お父さん!!お母さん!!
いやだ!!ひとりにしないで!!
いやだよぉっ…ううっ……
——ジリリリリリ……
「——っ……!!」
目覚まし時計の音とともに、悪夢から目を覚ます。
ここ一週間
ミドリは毎日のように同じ夢にうなされていた。
それはちょうど4年前に
実際に起こった人生で一番最悪の日の出来事。
ヨンジに同行したあの戦争以来
毎晩その夢を見るようになった。
頬に触れると湿っている。
いつもそうだ。
夢を見ながら泣いている。
「はぁ……」
ため息を吐いてベッドから立ち上がると
先に起きて支度を済ませていた同室のマリナが
心配そうに顔を覗く。
「大丈夫?また同じ夢?」
「うん…ごめん、うるさかった?」
「平気よ。うなされてたみたいだけど…今日はのんびり過ごしてね。」
「ごめんね?忙しいのに。」
「特別な日でしょ?気にしない、気にしない。」
そう、この日ミドリは一日休暇をもらっていた。
「いつものあの丘?」
「うん。庭の花、少しもらっていくね。」
「ミドリが育てたようなもんでしょ。好きなだけどうぞ。」
「ふふ、ありがと。」
今日はミドリの両親の命日。
この日は毎年欠かさず、両親に祈りを捧げていた。
あの悪夢を見るようになったのは
両親を失ったこの日が近付いていたせいか。
それとも戦場でトラウマが蘇ってしまったせいか。
きっとそのどちらも原因だ。
でも自分がクヨクヨしていたら
お父さんとお母さんに心配をかけてしまうから
なるべく元気な姿を見せたい。
ミドリは自分に喝を入れるように
両頬をペチペチと叩いた。