国見英と学校一の美少女【完結】
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episode.11「好きです」
——気にしなくていいよ。好きでやってる
補習のある3日間、帰りに送ってくれて
——一緒だな
他愛の無い会話をして、笑ってくれて
——俺も乗る
電車にまで、一緒に乗ってくれて
国見君は優しい人だから、私にも優しくしてくれているだけ。
特別な感情なんて、きっとない。
期待しちゃダメ。
そうやって自分に一生懸命言い聞かせていたのだけど
——っ…ごめんっ
突然手を握られた時に、どうしようもないほどに感情が昂って
期待せずにはいられなかった。
初めて触れた男の子の手は
大きて、熱くて、優しさで溢れていて
許されるなら、私もその手にずっと触れていたかった。
でもあの時は恥ずかしすぎて、彼を避けるようにそそくさと帰ってしまった。
今思えば、変な態度をとってしまったこと、後悔してる。
国見君。
あんなに優しく触れてくれたら、どうしたって期待しちゃうよ。
私のこと、どう思ってるの?
国見君に、会いたいよ。
ーーーーーーーーーー
夏休みは残り二週間。
「………来ちゃった…」
名前はあれから毎日のように考え込んで、この日、居ても立ってもいられずにバレー部の練習終わりを見計らって学校へ足を運んだ。
校門前で待っていると、体育館の方からパラパラと部員たちが出てきて、その中に金田一の隣を歩く国見を見つける。
「国見君」
名前の声に反応した国見は顔を上げると、驚いて目を大きく開いた。
「苗字……」
「ごめんなさい、突然。話がしたくて…」
「……ごめん金田一、先帰って」
「お、おう!」
金田一も国見同様少し驚いていたが、空気を読んでその場を離れた。
「金田一君、いつもごめん…」
「全然っ!大丈夫!何かわかんないけど、頑張ってください!」
「ありがとう」
金田一からの励ましに、名前は嬉しそうに笑顔を返した。
「かわいっ!」
「いいから早く行け」
「うるせっ」
「………」
「………」
2人きりになると、しんとした空気が流れる。
つい会いに来て、引き止めてしまったが
何を話せばいいのか、名前は緊張から頭が混乱していた。
「ここ人通るから移動しよ。あそこの公園、ベンチあるから」
「あ、うん」
学校を出て数分歩いた場所に児童公園があり、2人はそこへ移動した。
日暮れ前のこの時間。
公園にはまだ子ども達の遊ぶ声が響いている。
ベンチに並んで座るなり、名前は意を決して口を開いた。
「この間のこと、話したくて……」
「……電車の中でのこと?」
「そう」
「本当、ごめん。嫌だったよな」
「違うの!」
突然の大きな声に国見は驚いて名前を見た。
名前は誤解を解こうと必死な様子で言葉を続ける。
「全然、嫌じゃなかった。でもあの時はすごくびっくりしちゃって、変な態度になっちゃったから……国見君気にしてるかな、って思って」
「……嫌われたと思った」
「そんなわけない!」
目を見つめて必死に訴えてくる名前に、国見はホッとしたように笑った。
「わ、私も……」
「………?」
「私もね……本当はあの日…国見くんに触りたいなって思ってたの……」
言いながら名前はだんだんと声が小さくなり、恥ずかしそうに俯いていく。
意外な言葉に驚いたが、国見は名前の目の前にスッと手を差し出した。
「触れば?」
突然目の前に現れた大きな手に、名前の顔が赤く染まった。
「いいの?」
「いいよ」
心なしか、国見の顔も少し赤い。
名前は恐る恐る手を伸ばし、国見の手のひらを人差し指の指先でツンツンと2回ほど突いた。
「………」
「ははっ、何だよそれ。くすぐったいんだけど」
その様子に吹き出すように笑い、国見は一度拳を握った。
「ごめんなさい…」
「はい、もっかい」
そして、もう一度手のひらを名前へ向けて開く。
「………」
今度はそこにおずおずと手のひらを重ねた。
同時に、その手をギュッと包むように下から握られる。
ドクンドクン、と鼓動が大きくなる。
国見の大きくて熱い手の温もりを感じて、全身が熱くなった。
勇気を出して、名前の方からももう一度、ギュッと強く握ってみる。
と、国見の指先が名前の手を優しくさするように撫でてくる。
恥ずかしすぎて、どうにかなりそうで
きつく目を閉じた。
「好き」
溢れた感情が、声となって漏れた。
とても小さな声だったが、国見の耳にはちゃんと届いたようで、動きが止まった。
名前は顔を上げて、真っ直ぐに目を見つめる。
「国見君が好きです」
今にも泣き出しそうな表情だったが、はっきりとした告白だった。
重なった手は震えていて、国見はその手を自分の顔の前まで引き寄せ、額を寄せながら両手で強く握った。
「俺も苗字が好き」
ーーーーーーーーーー
9月。
私立青葉城西高校1年6組の朝は、新学期初日も騒がしかった。
「相変わらず可愛い!」
「ホント、目の保養だわ〜」
「苗字さんに会えないだけで夏休み長く感じたよなー」
教室に入ってきた名前を前に、男子生徒達が口々に声をあげる。
と、彼らの視線を遮るように、どこからともなく国見が現れた。
「なんだよ、国見!」
「デカい!邪魔だ!」
「苗字さんが見えねぇ!久しぶりなのに!」
「俺たち付き合ってるから」
「!!!!」
国見の一言に、クラス中から驚きの声があがった。
「国見と!?苗字さんが!?」
「そうなの!?」
クラスメイトからの問いかけに国見の後ろで静かに頷く名前。
恥ずかしいのか、頬を赤く染めていて
その表情からその場にいる全員が事実であると確信した。
「嫌だーーー!!」
「なんてことだー!!」
「おめでとー!」
男子生徒からは悲鳴の声があがり、女子生徒からは祝福の拍手が鳴る。
悲鳴をあげる男子達を見下ろしながら、国見は言葉を続けた。
「俺の許可なく苗字に話しかけるの禁止ね」
「は!!?」
「見るのも禁止」
「なっ!!!」
肩を落としている男子達を前に
国見の後ろで名前はニコニコと微笑んでいた。
その横には友人のマオとユキもいて
両隣から嬉しそうに名前を抱き締めた。
誰もが振り返るほどの美少女・名前
初めは彼女に全く興味のなかった国見は
こうして名前に一番執着する恋人となった。
…fin
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