国見英と学校一の美少女【完結】
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
episode.05「初めての恋です」
——ここにいたいなら、いていいけど
そう言って、大きな体で周りの視線から隠してくれた。
言い方は無愛想でも、行動がとても優しいことが嬉しかった。
それに、この私が男の子と話せた。
とても緊張したし、一言だけだったけど。
国見君は、国見君だけは、大丈夫みたい。
「……おはよう…」
次の日、ホームルームが始まるギリギリの時間に教室へとやってきた国見が自席に荷物を下ろすと、名前は彼を見上げて小さな声で挨拶をした。
「おはよ」
国見は覇気のない眠たげな表情のまま、小さくそう答えた。
それだけで名前は嬉しそうに俯く。
隣に座っていたユキだけがそのやりとりを見ていて、驚きから目を丸くした。
名前が男子に自ら挨拶をすることなんて、初めてだったから。
その後も名前の様子を注意深く見ていると、どうも国見のことを気にしているようだ、ということがわかった。
授業中もチラチラと前を気にしているし、休み時間に国見が教室を出ていく時も目で追っている。
「ねぇねぇもしかして、もしかしてなんだけどさ……名前ちゃんて国見君のことが好きなの?」
移動教室の最中、ざわつく廊下を歩きながら、ユキは口元を手で隠し、声をひそめながらそう聞いた。
「っ!!」
瞬間、名前は突然立ち止まり、固まる。
友達からのまさかの問いかけに衝撃が走った。
焦りから、とりあえず首を横に振った。
「あ、そう?そんな感じに見えたんだけど、勘違いか。ごめん」
どうしよう……
勘違い?
ううん…違う……
もう一度、勢いよく首を振る。
「わかったよ。ごめんごめん、行こ?」
「………」
どうしよう… どうしよう……
「名前ちゃん?」
ユキちゃんの一言で、わかってしまった。
これって、そういうことなんだ。
「私……」
恋、なんだ。
「私、国見君が……すき……」
「やっぱり!そうだと思った!」
手を合わせて喜ぶユキの横で、名前は力が抜けてその場にしゃがみ込む。
「ちょっと、大丈夫?」
恥ずかしくて、胸がいっぱいで
”好き”って言葉にしたらどうにかなりそうで
立っていられなくなった。
ずっと気になっていた。
つい、目で追っていた。
話をしてみたいと思った。
話ができて、嬉しかった。
もっと、仲良くなりたいと思ってる。
私、国見君が好きなんだ。
ーーーーーーーーーー
昼休み。
隣の席のユキと、親友のマオと3人でいつものようにお弁当を食べながらお喋りしていると、窓の外から校庭で騒ぐ生徒たちの声が聞こえる。
名前は窓の外へ顔を出し、外を覗いた。
サッカーをしている男子生徒たちの中に、国見の姿を見つけ、釘付けになった。
教室では全てに無頓着でやる気のなさそうな態度だが、体を動かすこと、特に球技が好きなようで、国見の活発な姿を見られる貴重な時間だった。
友達とボールを追いかけ、楽しそうに笑っている。
遠目ではあるが、その表情を見て
名前も釣られて頬が緩んだ。
「名前、何見てるの?」
彼女の様子に気付き、マオも窓から外を覗き込む。
名前はマオの耳元に顔を寄せ、手で口元を隠しながら小さな声で囁いた。
「……好きな人」
「!」
マオが驚いて言葉を失うと同時に、名前は恥ずかしさから下を向いて小さくなる。
「そうなの!名前ちゃんね、最近好きな人ができたの」
2人の間にユキも混ざり、小声でマオに囁く。
「名前ー!良かったー!!」
マオは2人を同時に全力で抱き締める。泣くほどに嬉しいのか、その表情はぐちゃぐちゃに歪んでいた。
「もう完全に男嫌いになっちゃったと思ってたよー!!」
「好きな人、できたよ」
「可愛い〜」
名前が恥ずかしそうにはにかむと、ユキはその頭を愛でるように撫でた。
ひとしきり感動を分け合った後、マオは再び校庭へと視線を戻す。
「で、どいつ?」
「同じクラスの国見君。ほら、今ボール蹴った、黒髪の」
「あの背の高い?」
「そうそう」
「待って、ここの席のヤツじゃん!」
「そうなの!!」
口下手な名前の代わりにユキがマオに説明をする横で、名前は嬉しそうに微笑んでいた。
好きな人の話をするのは、少し恥ずかしい。
けど、それ以上に嬉しい。
私は国見君が好きなんだ、って胸がいっぱいになる。
こんな感覚は初めて。
授業中、後ろから国見を観察する毎日が始まった。
広い肩に、広い背中。
少しクセのある襟足。
好き。
時々、頬杖をついて窓の外を見ている姿。
プリントを回してくれる時の伏せた目。
一瞬だけ視界に入る、大きな手。
好き。
国見君の仕草、全部にドキドキする。
これが人を好きになるということ。
体が自分のものじゃないみたいに熱くなる。
国見君のことばかり考えてしまう。
この席で良かった。
ずっと、この席にいたい……
初めての恋をして
全力でその恋を楽しみ
好きな人のことばかりを考えていた名前。
あっという間に時は流れ
一学期が間も無く終わる7月のはじまり
「………赤点…」
名前は学期末のテストで、これまでにないほどの点数をとってしまった。
