国見英と学校一の美少女【完結】
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episode.03「気になる人がいます」
「苗字さんだ。今日もかわいっ」
「朝から見れるなんてラッキーだな」
「俺は同じクラスだからいつでも見れる」
「黙れ。話したこともないくせに」
高校生活にも慣れてきた5月の半ば。
学校一の美少女、名前が通り過ぎた校門前で、男子生徒たちのそんな話し声が聞こえる。
入学から一ヶ月以上が経った今では、名前の存在にそこまで騒ぐ者もいなくなり、彼女の周りに人集りができることはなくなった。
親友のマオと廊下で別れた後、名前は緊張した面持ちで教室へと入った。
緊張の理由、それは昨日席替えをしてしまったから。
名前の席は窓際の一番後ろ。
場所はとても良い。誰もが羨ましがる場所だと思う。
「名前ちゃん、おはよー!」
ユキという、とても明るく天真爛漫な女の子が隣の席になった。
名前は隣が女子生徒でよかったと、心から思った。
「ユキちゃん、おはよう」
「遅刻ギリギリー!」
「間に合ってよかったね」
「あー朝から癒されるー」
にっこりと笑顔を向けるとギュッと抱き付いてきた。
ユキは昨日だけでたくさん話しかけてくれて、口数の少ない名前ともすぐに仲良くなってくれた。
「私もユキちゃん、すき」
「きゃー!!」
教室の後ろの扉から、一際背の高い生徒があくびをしながら教室に入ってくる。
そう、名前の緊張の原因は彼、国見英。
今回の席替えで、名前の目の前の席になった。
「国見君、おはよー!」
「おはよう」
ユキが国見に挨拶をし、国見も軽く返事をした。
が、明るく誰にでも懐っこいユキとは違い、名前は挨拶をできなかった。
「………」
それを気にする様子もなく、国見は自席へと着いた。
すぐに担任がやってきてホームルームが始まった。
どうして緊張してしまうのか、わからない。
ただ、入学式の日から、国見のことが気になって仕方がない。
それは彼が、名前が今まで関わってきた男子とはまるで違うと知ったから。
休み時間も、もちろん授業中も、国見が名前に話しかけてくることは一度もない。
小学生時代から、これまでの学校生活を思い出してみる。
いつも席が近い男子は、何度も何度もしつこいくらいに話しかけてきた。
わざと消しゴムをこちらの方へ落としてきたり、プリントを回す時に手が触れるようにしたりと、ちょっかいを出されている気がして嫌だった。
国見は、話しかけてこないどころか、こちらを見もしない。
そんな男子は初めてだ。
気がつくと名前は、目の前の黒髪の後頭部を見つめていた。
ーーーーーーーーーー
「名前ー、お昼食べよー。お、席替わってる!」
昼休み。
隣のクラスから親友のマオが弁当片手にやってきた。
それを見て名前もいそいそと鞄から弁当を取り出す。
「私も一緒にいい?」
隣のユキも弁当を出しながら懐こい笑顔をマオに向けた。
「クラスに友達できたの?よかったー!名前をよろしくね」
「任せて!」
2人はお互い自己紹介をし合い、あっという間に意気投合しているようだった。
コミュニケーション能力が高いと、こんなにあっさりと友達になれるのか…
と、名前は羨望の眼差しで2人を見る。
「ここ座れば?」
3人の様子に気付いたのか、国見がスッと席を立った。
「さんきゅー。借りるわ」
その席にマオが座った。
なんてことないやりとりだったが、名前は少し驚いて彼を見る。
優しい!というか、気が利くんだな…国見君。
国見の新たな一面に感心しながら、教室を出ていく彼の背中を見送った。
ーーーーーーーーーーー
数日後。
休み時間、すごく背の高い男子が教室に入ってきたかと思えば、真っ直ぐに国見の元へとやってきて
席から見上げると余計に大きな体に名前は思わず彼をじっと見上げた。
その視線に気付いた彼は突然慌て出し、とりあえず軽く名前に頭を下げる。
「あ、ど、どもっ」
名前も無言ではあるが丁寧に頭を下げた。
「金田一、何?」
彼に気付いた国見は気だるげに顔を上げた。
「これ…えっと、あ?なんだっけ」
「あぁ、インハイのか」
「そうだ。組み合わせ」
金田一、と呼ばれた彼は、1枚の紙を国見の机に置いた。
同時に少し背を屈めながら、耳打ちをする。
「つーかお前、席前後なのかよっ」
「は?」
「ほら、噂の」
「あぁ……ははっ、だからって挙動不審すぎだろ」
「しょーがねぇだろ。逆によく冷静でいられるな」
「別に」
小声にしているが、話の内容は名前にまではっきり聞こえていた。
ただ嫌な気持ちになるわけではなく、楽しそうだな、と微笑ましく思う。
仲の良い友達なんだな。
きっと同じバレー部の人だ。
だってこの身長だもん。絶対そうだ。
国見君が笑ってるのって、初めてだな。
後ろ姿だから見えないけど。
……正面から見たかったな。
仲の良い友達の前では、よく笑う。
また、国見の新しい一面を知った。
5月が終わる頃には、彼の様々な面を知っていった。
朝は結構ギリギリに教室に来る。毎日バレー部の朝練があるらしい。
授業中よく窓の外を見てる。
なのに、小テストはいつもよくできる。すごい。
やる気がなさそうなのに、体育もすごい。
隅の方でサボってる…?と思いきや、出番が来るとさりげなく活躍している。
いつも男子の誰かが国見君のところへ来て話をしている。友達が多いみたい。
ホームルームが終わると、すぐに部活へ向かう。
金田一君が迎えに来る。きっと一番の仲良しは彼。
……いいな。
私とは、話をすることもなければ、目が合うことすらない。
それでも
なんだか私、いつも国見君を気にしてる。
私を全く気にしない国見君を気にしてる。
話がしてみたい。
男の子のことをこんなふうに思うのは、初めてだ。
