その笑顔に導かれ/エース
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最初はおれが日にちを数え間違えたんだと思った。
前に会ったときから2日経った。今日のはずだ……でも勘違いかも知れねェから、明日も来てみるか、って。
そして翌日、一日中待ってもミドリは現れなかった。
何か事情があって来れないのかもしれねェ。カゼとかな。
明日も来てみよう。きっと会える。
次の日も、その次の日も、さらにその次の日も、毎日毎日おれは待ちぼうけをくらった。
ミドリは困るだろうが、無理矢理にでも家を聞き出しておくべきだった、と後悔もした。
会えない、と思うと余計に会いたくなっちまう。
——そして今日
夕方まで待ったがミドリが来ることはなく、諦めて船へ戻ってくると
「エース船長、言い辛ェんだが…ログがたまった」
航海士のミハールが申し訳なさそうにそう言った。
おれが毎日毎日飽きもせずミドリに会おうと街へ行っていたことを、クルーの皆は知っていたようだ。
「おれはミドリを諦めきれねェ」
夕食時、テーブルを囲う仲間たちに素直にそう告げた。
「恋ね!恋!」
一番に反応したのは紅一点のバンシーだ。
「だから名前は聞くなって言ったのに、言うこときかねェから」
デュースはその隣でため息を吐いた。
「うははッ!ケッサク!」
「うちの船長が恋だってよ!」
「まァエースも盛りのついた男だってことだ!」
他のクルーたちは大笑いしている。
が、すぐにおれの心情を汲み取ってくれた。
「仕方ねェ。皆でミドリを探すか?」
「そうだな。船長がこんなにしょぼくれてちゃ、この先の航海も不安で仕方ねぇ」
「全ての家を片っ端からあたろう。エース船長のためならおれら頑張るぜ!」
「いや、ミドリは家を知られることを嫌がってたんだろ?騒ぎにはするな」
「でも他に方法がねェだろ」
おれのために口々に意見を出し合う仲間たちに、頭を下げた。
「みんな、ありがとう。でも明日一日だけでいい。おれに時間をくれ」
「エース……」
「諦めちまうのか?」
「そろそろ潮時だとも考えてた。明日一日待って会えなかったら、その時は……潔く諦める」