最終章 〜私の戦士〜
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その後もミドリの様子はどこかおかしいままだ。
それに気がついたのは、そばにいることの多い
王女のビビだった。
「ねぇペル。最近あの子どうしたのかしら。」
まもなくコブラとビビの食事の時間。
ビビはペルを見かけると歩み寄り、小さな声で
耳打ちをした。
「あの子と言いますと?」
すぐにミドリが思い浮かんだが
あえてそう聞き返した。
「ミドリ。最近ボーッとしてることが多くて。らしくない失敗もあったりするのよ。」
「……そうですか。」
「ペル、あなた何か聞いてない?友達でしょ?」
「いえ、私は特に。」
「そう。何か思い悩んでいないといいけど。」
そんなやりとりの後、食事中の食堂にミドリの声が響いた。
「すみませんっ!!」
「ちょっと、何してるの!ビビ様大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。服にはこぼれていないし。ミドリこそ火傷してない?」
「いえ、私は大丈夫です。」
カップに注ぐ紅茶を溢すという失敗をし
ビビは「珍しいわね」と笑っていた。
食事の片付けを終え、食堂を出るミドリは
ひどく落ち込んでいた。
もう少しで王女に火傷を負わせてしまうところだ。
大好きになった宮殿での仕事なのに
このままでは周りの皆の迷惑でしかない。
自分が情けない。
もっと、しっかりしなくては。
「ミドリ。」
廊下の隅にペルがいたことに気が付かず
声をかけられた瞬間ビクッと身体が跳ねる。
「っ…ペルさん……」
落ち込んでいるこの時に、優しい彼の笑顔。
鼻の奥がツンとなる。
「また″助けて″が言えなくなっているな?」
心情を全て見透かされている。
この人には敵わない。そう思った。
「今夜、ゆっくり話そう。中庭で待ってる。」
「……わかりました。」
去って行くペルの背中をいつまでも眺めていた。
大好きな人。
そして同時に浮かぶ、自分の夢。
今の気持ちを全て打ち明けたら……
ペルさんは絶対に私の夢を後押ししてくれる。
自分の気持ちを優先するような人じゃないから。
だったらいっそ、言わないほうが……
夢を……諦める?
それとも、ペルさんとの生活を……諦める?
「……できないよ…」
私には、とても選べない。