第五章 〜私の変化〜
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「ミドリ、最近なんだか元気ない?」
糸にビーズを通し、編み込みをしてさらに
ビーズを通す。
視線はその手元へと向けたまま
ビビはミドリにそう声をかけた。
「え?そう見えますか?」
ミドリもまた同じように器用に動かす指先に
集中したまま答えた。
珍しく公務のない日の昼食後。
アクセサリー作りを教えて欲しいとビビに頼まれ
2人で夢中になっているところだった。
「なんとなくね。何かあった?」
侍女の変化に気付き、心配までしてくれるなんて
この国の王女はなんて優しいお方だろう、と
ミドリは改めて感動した。
王女を相手に相談なんておこがましいと思ったが
嘘をついて否定する方が失礼かと思い
ミドリは正直に話すことにした。
「私、仕事の空き時間や非番の日に、ペル様の飛行訓練を見させてもらうのが楽しみだったんです。」
「わかるわ。ペルが飛んでるところを見ると気持ちがいいのよね。」
「ですが、邪魔してしまっていたようで…ある時から訓練の場所を変えられたらしくて、見られなくなってしまって…」
「……ペルが邪魔だなんて思うかしら?」
「え……」
「本人に聞いてみたら?どこで訓練してるのか。きっとすぐに教えてくれるわ。」
「そうでしょうか……」
「できた!」
糸の余りをハサミで切ると
出来上がったブレスレットを両手の親指にかけ
前に掲げるように見せた。
「どう?初めてにしては上出来?」
「はい。すごく上手にできてます。」
嬉しそうなビビを前に、ミドリも笑顔になった。
「それじゃあ、ペルの部屋へ行くわよ!」
「えっ!?」
ビビに腕を引かれ、そのまま王女の部屋を出る。
ひとつ下がった階に護衛隊達の部屋があると言う。
すぐにペルの部屋の前に着き
ビビは力強く扉をノックした。が、反応はない。
ドアノブをガチャガチャと動かすが
鍵がかけられているようだった。
残念がるビビの横で、ミドリは内心ホッとした。
「やっぱりこんな昼間にはいないわね。夜に来たらいいわ。きっと会える。」
「でも、私なんかがペル様を訪ねるなんて……」
「どうして?あなたたち、元々は友達だったんでしょ?」
ビビのその言葉に、ミドリはハッとした。
「ここに来たから立場ができてしまったのでしょうけど。友達のところに遊びに行って、なにがいけないの?」
「……友達…」
友達なら、立場なんて関係ない?
好きでいてもいいの…?