第一章 〜私の存在〜
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第一章 〜私の存在〜
サンディアイランドにある王国「アラバスタ」
そしてこの街は
広大な土地の大半を砂漠に覆われている
この国最大の都市である首都「アルバーナ」
中央通りでは多くの商店が軒を連ね
その間を人々が行き交い
商人や客達で連日賑わいを見せていた。
そこからひとつ裏に入った通りは
メインの通りよりも比較的小さな店が並ぶ。
その一角にある、この絨毯の店。
ミドリの仕事場であり、家でもある。
店の壁一面に沿って
一枚一枚吊るされた大きな絨毯の数々。
中央に広がるテーブルには
小さめのマットやラグが所狭しと重なっている。
店奥のカウンター横では、ほんのわずかだが
アクセサリーも売られていた。
さらにその奥の階段を上がれば住居へと続く。
「はぁ……」
ボトルに入った飲料水を口に含み
暑さによってカラカラに乾いた喉を潤すと
ミドリはカウンター前の椅子に腰掛けた。
そのまま店の外を眺める。
ここから通りを向いて人々の流れを眺めるのが
ミドリの基本の店番スタイルだった。
日用品や食料品を売っている店とは違い
客で賑わうことがほとんどないこの店は
こうして店番をしていても正直あまり仕事はない。
それでも忙しく仕事をしていないと
店主である家族にこっぴどく怒られるので
先ほどまで商品の陳列や掃除に徹していたのだが
それも終わってしまい、一息ついたところだった。
カウンターの上には売り上げ帳簿を広げておく。
こうして、今は食事へ行っている家族が
いつ戻ってきても大丈夫なように
仕事中と思わせることを忘れない。
そこへ、外を通りかかった女性が
店先で足を止め、中へと入ってきた。
「わぁ〜!綺麗な絨毯!」
明るく弾むような声が店内に響く。
ミドリは席を立ち、接客へと向かった。
接客は苦手だった。
暗く見すぼらしいこの顔で
相手の目を見て話すことが苦痛だからだ。
だからといって、せっかく来てくれた客を
無視していては感じが悪いし
家族から仕打ちを受けるのは目に見えているので
いつもストールを深めに巻き
なるべく表情を隠しながら仕事をしていた。
幸いこの国では、暑さのために日中は
ほとんどの女性がストールを巻いているので
何ら問題はなかった。