親友
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ウソップをひとりの”男”として意識してるなんて
そんなのは勘違い。
あのお風呂上がりは、不意打ちだったからで、
釣りの時は、いつもより距離が近かったせい。
大丈夫。
今までみたいに接すれば
きっと変わりない2人の空気に戻れる。
自分にそう言い聞かせながら
ウソップのもとへ足を運んだ。
声が聞こえてきたウソップ工場支部へ行くと
横にルフィの姿もあった。
「なにィ!?じゃあタラバガニはカニじゃねェのか!」
「そうだ。ありゃヤドカリの仲間だ。」
「昔海岸でよく見たな〜。ヤドカリの引越し。ん?じゃあタラバガニも引っ越すのか?」
「んなことより今はこの仕掛けをだな…」
何やら作業しているウソップと、その横で
手伝っているんだか、邪魔をしているんだか
わからないルフィ。
その隣に私もしゃがみ込んだ。
「何してるの?」
「ようミドリ!晩飯はカニを食うぞ!」
「カニ?」
「だからおめェ、カニなんて簡単に釣れると思うなよ?」
「でもおれは今日カニを食うって決めたんだ。」
「釣れてから決めろよ!」
釣竿の先に網をつけ
何やら仕掛けを作っているウソップ。
「まさか釣るの!?カニを!?すごい!!」
「いやだから、そんな簡単じゃ……」
「まァお前ならできるだろ。」
「…あ、あったぼーよ!ウソップ様にかかれば朝メシ前だ!まァ任せとけって!!」
ヤケになって大口を叩きながらも
仕掛けに手こずるウソップを前に
楽しそうに笑うルフィと一緒に私も笑顔になった。
ほら、大丈夫。
いつものやりとり、いつもの私たちだ。
ホッとしたのも束の間、ふと何かを察知して
顔つきの変わったルフィが立ち上がる。
「ルフィ?どうかした?」
「なんか来るな。」
「な、なんかって何だよ…」
言うや否や、ルフィは腕を伸ばし
甲板の前方へと行ってしまった。
私たちは顔を見合わせ、後を追う。
そこにはルフィを筆頭に
寝ていたゾロとキッチンにいたサンジも来ていて
舵を握るジンベエの横で前方を見据えていた。
「あらららら〜海軍ですね!軍艦が5隻、12時の方向ですよ!!目の前!!」
見張り台にいたブルックが
望遠鏡を覗きながら声を上げると
クルーの皆も次々と甲板へと集まってくる。
「あいつ見たことあるぞ!」
「モモンガ中将ね。」
「面倒臭ェな。クー・ド・バーストで逃げちまうか!?」
「コーラがもったいないわ!追い払ってちょうだい!あんたたちィ!!」
ナミの号令に3人が返事をし戦闘体制に入る。
「まァあいつらに任せとけば大丈夫だろ。」
そう言いながらも、何かあった時の援護のために
ウソップは黒カブトを手に、ゴーグルも装着した。
——ヒューーー……ドンッ!!
敵戦からの大砲の音と共に
サニー号が大きく揺れる。
「もう撃ってきたぞ!」
「やる気満々だなァ。」
「上等だ。」
前方にいた3人が敵船へ移り
残されたクルー達で大砲からサニーを守っていた。
ウソップも黒カブトから次々と技を放つ。
が、その間も常に私の前からは動かず
敵からの攻撃があれば片手を後ろに回して
私を守る体制に入る。
きっと意識なんてしていない。
体が勝手に動いて、そうしてる感じ。
それが、とてもずるい。
少し前までは一緒に逃げ回っていたのに
いつの間にか、そこにいてくれるだけで安心できて
こんなにも頼もしい存在になってしまった。
私ばかりが意識して
こんな状況なのに、不謹慎にもドキドキして
嫌というほど目の前にいるこの男への気持ちを
思い知らされた瞬間だった。