親友
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こうなってしまったのは
数日前の出来事が原因だった———
その日の夜、サニー号では男たちによる
”大お風呂大会”が行われており
大浴場からはバカ騒ぎする声が響いてくる。
それさえ気にならなければ
ゆっくりと過ごせるこの機会に
女性陣は各々好きなように過ごしていた。
ナミは海図の作成のため測量室にこもり
ロビンは見張りをしながら読書。
私はひとりダイニングでコーヒーを嗜んでいた。
2人にもコーヒーを淹れて持っていこうかと
キッチンに立ったとき
勢いよく扉が開いて心臓が跳ねる。
「あっぢー!!」
風呂場から一番に出てきたウソップだった。
静かな時間が終わってしまった…と
小さくため息を吐く。
「悪ィな、ミドリ。水くれよ。」
少しも悪いと思ってない口調で
そう言うウソップに、仕方なくグラスを出し
水を注ぎながら何気なくそちらの方を見て
身体が固まった。
ウソップが身につけているのは
寝間着であるらしい短パンだけで
上半身を露わに、腕を上げ濡れた髪を拭いていた。
「な!なんで何も着てないのよ!!」
「あ?暑ィし、いつものことじゃねェか。って、オイ!溢れてんぞ!」
「え?あぁ!」
指摘された先に目をやると、グラスの水は
ダラダラと溢れ、私の手までも濡らしていた。
慌てて水を止め、濡れた手を拭きながら
動揺する心に自分で混乱する。
確かにウソップは上の服を着ない時もあるし
一緒にプールで遊んだこともあるし
私も見慣れてるはず。
なのに、この時はなぜか意識してしまった。
ウソップのくせに6つに割れてるお腹とか
トレーニングしている様子もないのに
鍛えられた胸板とか、二の腕、よく焼けた肌。
濡れてボリュームのなくなった髪まで
なぜか直視できなくて目を逸らす。
自分でも意味がわからない。
混乱した気持ちの矛先は
目の前のウソップへ向けられた。
「もう!これ飲んだらさっさと服着てきて!!」
顔を見られないまま、並々と水が入ったコップを
バンっとカウンターに置いた。
「なっ、こぼれたじゃねェか!」
慌てるウソップに台拭きを投げつけると
「何か怒ってんのか?」とうろたえている。
それをスルーして、ナミとロビンのための
コーヒーカップを準備した。
と、もう一度扉が開き、今後はゾロが入ってくる。
「あ、ゾロも水飲む?」
「おう。」
2人きりでなくなったことになんとなくホッとし
グラスに注いだ水をゾロの前に置いた。
「おいゾロも裸じゃねェか!なんでコイツは許されるんだ!!」
ウソップが怒り顔で指差す先は
露わになっている鍛え上げられたゾロの体。
2つ並んだ、男の体。
それなのに、やっぱり
ウソップの方だけ目を向けられない。
「っ…ゾロはいいの!見慣れてるから!ウソップは…なんかダメ!!」
トレイに乗せたカップにコーヒーを注ぐと
それを持って逃げるようにダイニングを後にした。
「お、ケンカか?」
「笑うなてめェ!!」
親友であるはずのウソップに
妙に″男″を感じてしまった。
たぶんそれが、きっかけだった。