はじめてのオトコ/ロー
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日。
朝から航路を進んでいくと
昼過ぎに新たな島へ到着した。
下見と情報収集へ行った仲間達によると
島のログが貯まるのにひと月もかかるというので
その間は島でのんびりと過ごすことに決まった。
滞在期間中の船番を決めた後は
船に残る者、島へ散策へ行く者、宿を探す者
各々が好きなように一か月を過ごす。
「私、もっと”男”と関わるべきだと思うの!」
とりあえず潜水艦に残っていたミドリは
いつものおしゃべり相手であるイッカクに
突然語り始めた。
イッカクは、急に何を言い出すんだ…と
少々面倒になったが
とりあえず話を聞いてやることにした。
「男と関わるったって、すでにこの船はあたしら以外、男かオスしかいないじゃん。」
「そうじゃなくて!もっと”男”を知っておくべきってことよ!」
「知ってどうするの?」
「レベルアップするの。女として。」
「……へェ。」
どうにも理解できそうにない友達の言葉に
イッカクはその一言しか答えられなかった。
一方でミドリは、彼女に宣言したことで
自分の中で決意ができたようで、満足げに頷く。
私は”男”ってモノを知らなすぎるから
ちょっとばかり他の人より格好良いキャプテンに
こんな気持ちになってしまったんだ。
もっと色々な男の人と出会えば
キャプテンひとりに心を乱されるようなことは
もうなくなるはず。
きっとそうだ。
「酔った勢いのあんなキスひとつで動揺したりして、情けないったらないわ……」
昨晩のことを思い出し、少し頬を染めながらも
悔しそうな表情で小さく呟いた。
「キスね。へェ〜……」
「なんでもないの!とにかく私はこの島で、この1ヶ月の間に男を作る!これから街へ行くんだけど、イッカクも一緒にどう?」
「いや、あたしはいいわ。」
「そう?じゃあ、ここを出る頃には男を手玉に取るような、セクシー女海賊になってるから!」
「頑張ってー。」
軽い足取りで船を降りて行ったその背中を
手を振りながら見送ったイッカクは
後ろを振り返り、その方向へ声をかける。
「ミドリに余計なこと吹き込んだの、キャプテンですか?」
と、壁の陰から苦悶の表情を浮かべたローが
舌打ちをひとつして出てきた。
「……別に吹き込んだわけじゃねェ。」
「キスしたんでしょ?」
「………」
「焦れたんですか?」
「あの女が悪い。」
「とりあえず追いかけてくださいよ。あの調子じゃ、あの子絶対変な男に捕まる。」
ローは深くため息を吐くと鬼哭を肩に乗せる。
「……なんであいつはあんなにアホなんだ。」
そう呟いて、ミドリが消えて行った方角へと
ダルそうに歩みを進めた。
「……そこが気に入ってるくせに。」
その背中を見送りながら
イッカクは小さく笑った。