はじめてのオトコ/ロー
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「……黙ってねェで何か言え。」
仲間たちが騒ぐ声が遠くに聞こえる中
無言だった2人の空気を破って
ローが不機嫌そうに隣のミドリへ声をかけた。
「キャプテンと話すことなんて特にないんですけど。」
私別に、あなたに熱をあげてはないですよ
という態度を貫いた結果
愛想のない邪険な返事になってしまった。
いつもそうだった。
楽しく話をしてしまったら
笑顔を向けられたりしてしまったら
気持ちが昂って、頬が緩んでしまうから。
意識していることを気付かれないように
ツンとした表情で冷たい態度をとってしまう。
ミドリの態度にローはそれ以上何も言わない。
不穏な空気。
怒らせてしまったことだろう。
自分が原因であることはわかってるのに
不安になるミドリ。
不意に、眺めていた星空が視界が遮られた。
同時に唇に触れる柔らかな感触。
ローからの口付けだった。
「………なっ…」
それが離れても少しの間固まって
状況を頭で理解してから一気にパニックになる。
「何するんですか!!」
ミドリは作った拳を容赦なくローにぶつけるが
簡単にその手は止められてしまう。
「お前のその態度、ムカつくから壊してやろうと思っただけだ。」
やった本人はあくまで冷静で
反応を楽しんでいるようにも見える。
ミドリは、何度止められても
怒りと動揺が入り混じった拳を打ち付け
ローを攻め続けた。
「キャプテンのあほ!!海賊だからって、船長だからって、顔がいいからって!何しても許されると思うな!!初めてだったのに!!」
混乱したままで思いの丈を全てぶち撒け
最後にローへ蹴りを入れる。
「キャプテンのあほ!!」
逃げるようにその場を去った。
想像以上の反応を見られ、残されたローは
緩む頬を抑えられず、足元へ視線を落とした。
「初めてか……へェ。」
クルー達のもとへは戻る気になれないミドリは
誰もいない女部屋へと逃げ込んだ。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
——お前のその態度、ムカつくから壊してやろうと思っただけだ
まんまとキャプテンの思う壺になってしまった。
不意打ちのキスなんてずるい。
私は別に、あなたに熱をあげてはないですよ
っていう態度を貫いてきたのに
”男”というモノに全く慣れていない姿を
見られてしまった。
顔はきっと真っ赤になってる。
唇にはまだ、柔らかな感触が残ってる。
ふわっと香ったお酒の香りや
顎先に一瞬触れたヒゲの毛先が
少しだけくすぐったかったことも覚えてる。
あんなことをしたのに
私とは正反対に、キャプテンは落ち着いていて
余裕のある笑みまで浮かべてた。
きっと経験の差、なんだろう…
「キャプテンのばかやろう……」
シーツに熱くなった顔を押し付けるよう
ベッドへと潜り込んだ。