エピローグ
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——プルプルプル プルプルプル……ガチャ
『ヨンジ様!?よかった!今どちらに!?』
ヨンジの電伝虫に兵士からの連絡が入った。
「船に乗り遅れた。迎えに来い。」
『そんなはずは!出航の際には確かにおそばにっ…』
「忘れ物したんだよ。さっさと来い。さっきの港だ。」
——ガチャ
「……兵士さんに何も言わずに飛んできちゃったんですか?」
「……焦ってたんだよ。」
バツが悪そうに頭をかくヨンジを見上げ
嬉しそうにミドリは笑った。
その笑顔にヨンジもまた、満足げに口角を上げる。
2人並んで水平線を眺めながら船を待った。
「本当にいいんだな。」
ヨンジからの最後の確認だった。
本当にこの人は、いつの間にこんなにも
私に気を使ってくれるようになったんだろう…と
ミドリは驚きながらも自信を持って頷く。
「はい。」
「……おれはお前の言っていた”大事にする”って意味が、いまだによくわからない。」
反対にヨンジの方は、海に目を向けたまま
まだ少し難しい顔をしている。
「無理難題突きつけやがって。」
ギロリと睨むように視線だけをミドリに向ける。
その様子にふふっと笑い
そっとヨンジの手を握った。
「私はもう大事にされています。」
「……ならいい。」
ヨンジも視線を海へと戻し
そっとその手を握り返す。
すっかり高く昇った太陽によって
地には2つの影が並んだ。
女の子なら、誰でも一度は夢に見る。
この世界のどこかに
この私と赤い糸で結ばれた王子様がいて
彼がいつか私を迎えに来て
ふたりはいつまでもいつまでも、幸せに暮らす。
そんな、おとぎ話のような未来は
もしかしたら、意外と近くにあるのかも。
私の仕事は、王子であるこの人に支えること。
いつも一歩後ろから
その大きな背中を追いかけた。
それが今は横にいる。
私の大好きな人。
私を大事にしてくれる人。
望んではいけないと思っていた
私の居場所。
これからはずっと、あなたの隣に。
…fin