第五章 〜芽生えた感情〜
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「ちょっと!!」
廊下の角を曲がったところで
レイジュは弟の肩をバシッと叩く。
「なんだよ。」
「見てたわよ!いい雰囲気だったじゃない。あんた、あの子が好きなの?」
「あ?あの子?」
「わからないの?今の侍女の子よ。」
「はァ?そんなんじゃねェよ。」
「嘘。珍しく楽しそうだったじゃない。恋ね!ついに!私の弟が!」
「コイ?やめろ。アホらしい。」
あァ、面倒臭いヤツに見られてた。
ヨンジは勘弁してくれとでもいうように
レイジュから距離を取って歩くスピードを速める。
「でもあんた、あの子がニジの部屋へ行ったら、それはそれは怒ったらしいじゃない。聞いたわよ。」
レイジュも負けじとそのスピードについていく。
「ニジの野郎…忘れてた。あいつただじゃおかねェ。」
「怒ったのは、あの子が特別だからでしょ?」
「特別?」
「他の男に取られるのは嫌なんでしょ。あの子に依存してるんだわ。そんなこと初めてなんじゃない?」
「依存?……もうやめろ。意味がわからねェ。」
体の異常に、次から次へと浴びせられる
理解できないような言葉の数々。
全てにうんざりしたヨンジは
これ以上話を聞くもんか、と両手で耳を塞ぐ。
が、レイジュも気にせずに言いたいことを続けた。
「兄にも嫉妬するくらいだもの。相当気に入ってるのね。あんたにも人間らしい一面があったってことだわ。それか、あの子が目覚めさせてくれたのかしら……まァ、せいぜい苦しみなさい。」
無視を決め込むつもりだったが
その最後の言葉だけが引っかかった。
「苦しむだと?このおれがか?」
「さァね。」
2人はいつの間にか王の間の前まで来ていて
レイジュはそそくさと扉を開けて入ってしまった。
言いたいことだけ言って肝心なところは濁すレイジュの態度に怒りが湧く。
コイ?
このおれが、あの女を…?
特別?苦しむ?
「ふざけんな…面倒臭ェ…」
ぶつぶつと文句を言いながら
乱暴に扉を開け、レイジュの後を追った。