第五章 〜芽生えた感情〜
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朝食を終えたヨンジは
王子たちの体のコンディションを確認する
調整室も兼ねている城の研究室へ来ていた。
メガネをかけた研究員が彼を出迎え
服を脱がしながら台の上へ寝かせる。
「動悸が…ですか?」
「そうだ。同時に体も熱くなってきやがる。なんなんだ、これは。」
「はて……一応検査してみますか。」
「頼む。」
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この日
ヨンジの専属としての仕事がなくなったミドリは
他の侍女たちとともに動き回っていた。
「誰かレイジュ様に食後のコーヒーをお届けして!お部屋でお待ちなの!」
「イチジ様がトレーニングへ向かわれたわ!浴室の準備を!それとドリンクね!」
「ニジ様はどちらへ!?またいらっしゃらないわ!」
ミドリの元へ慌てた様子のマリナが駆け寄る。
「ミドリ、ヨンジ様大丈夫なの?」
「ん?どうかされたの?」
「体の具合が良くないって、研究室に入ったきりらしいわ。」
「え?」
「珍しいわね。ヨンジ様が体調を崩すなんて。ここはいいから、行ってさしあげたら?」
「……でも、今日はそばにいるなって。」
「なぁに?喧嘩でもしたの?」
口を尖らせ、拗ねたようなミドリの言い方に
マリナは楽しそうに笑った。
「喧嘩じゃないけどいろいろあって…ヨンジ様が理解できないのよ。」
「ふふっ。そんなの今に始まったことじゃないでしょ。」
「そうだけど……」
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「体はどこも異常ないですね。」
しばらくして、ひと通りの検査を終えた研究員が
データを見ながらヨンジにそう告げた。
「動きすぎなんじゃないですか?トレーニングも結構ですが…」
「違う。動いて息が上がったときのとは違うんだ。」
「でも体は全くの健康体でして……心の問題では?」
「あ?心?」
「そうなると、私たちには専門外で…申し訳ありません。」
尋常でないほどに体が熱くなって
脈も上がってくるんだぞ。
それが心の問題?
なぜ心の問題で体に異常が出てくるんだ。
「この役立たずどもめ。もういい。」
ヨンジは衣服を直し、調整室を後にした。