愛に生きて 後編/カタクリ
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「ステンレス中将!!ミドリ少佐が捕まりました!」
「……カタクリか…」
「追いかけますか!?」
「……本当に嫌なら自力で逃げ出すだろう……」
「は……?」
「船が沈む前にさっさとここを離れるぞ。一度撤退だ。」
「いやだっ……離してっ……」
「出血もしている。あまり動くな。」
「お願いっ…離し…て……」
うまく動かない体に、霞んでいく視界。
ズキズキと痛む頭。
抵抗も虚しく、そのまま抱えられて
船内へと入ったところで限界がきて
私は意識を手放した。
ーーーーーーーー
嵐の海域を抜け、トットランドへの航路に着くと
兄弟たちは船内へと入ってきた。
同時に、床に寝かされている
ミドリの姿を見て声を上げる。
「な!なんで海軍がここに!?」
「死んでるのか?こいつ。海に捨てるか?」
「やめろ。」
低い声で威圧するカタクリに全員が振り返る。
「カタクリ。お前が連れてきたのか?事情を説明しろ。ペロリン。」
「なんなんだ!この女は!」
「わからないか?」
カタクリは右頬にかかるミドリの髪を手で払う。
「ミドリだ。」
「ミドリ……ミドリって…まさか!!」
「あのミドリのことか?」
「でも確かにミドリだ……この傷も。」
「あの子は死んだはず。」
驚きを隠せないペロスペロー、クラッカーの横で
スムージーが鋭い視線をカタクリへ向ける。
「父親が裏切り者だったと聞いた。ママはこの子が死んだと思ってる。生きていることを知ったら……」
「……ペロス兄、城に帰る前にコムギ島へ寄ってくれ。」
「……連れ帰る気か。」
「おれがどうにかする。ママには言うな。」
「何考えてるんだ、カタクリ。」
「見逃してくれ……おれもまだ…少し混乱している。」
それ以上何も言おうとしないカタクリに
3人はため息を吐き、甲板へと戻って行った。