愛に生きて 前編/カタクリ
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もう、何もいらない。
その愛があればいい。
心の底から、そう思った。
〜愛に生きて 前編〜
ビッグ・マム海賊団
シャーロット家の10女である私。
15歳にして、ひとつの悩みがあった。
「ついにスムージーにまで抜かれたのか!」
「本当、お前はチビだなァミドリ。ペロリン。」
それは兄姉たちによって
見た目の違いをからかわれること。
「うるさーい!私はこれからが成長期なの!」
長男のペロス兄をはじめ、ダイフク兄さん
オーブン兄さん、クラッカー兄さん
それに加え、今日は
コンポート姉さんにアマンド姉さんまで
バカにするように私を笑う。
「いやお前、もうそれ成長止まってるだろう。」
「私が15の時はこのくらいはあったわ。」
「戦っても弱い。本当にミドリはママの子なのか?」
「ひっどーい!」
面白半分にからかわれているだけだと割り切って
怒った素振りをして笑い返しながらも
この話題になる度に内心はひどく動揺している。
姉や妹達はあんなに大きくたくましいのに
どうして私だけがこんなに小さいままなのか……
腕のいいコックとして
ここで給仕を任されている父のように
料理の腕を磨けば戦闘なんてできなくていい、と
ママはそう言ってくれたけど
海賊である家族の一員であるにも関わらず
敵が現れたら兄弟達の後ろに逃げ隠れする自分は
なんて惨めなんだろう、と思う。
ゲラゲラと笑う兄姉達。
彼らにはきっと
私の気持ちなんてわからない……
もう兄さん達なんて無視して部屋に帰ろう。
そう思ったとき——
「やめろ。くだらない。」
その場に低い声が静かに響いた。
声の主はすぐにわかった。
「カタクリお兄ちゃん……」
私を庇うように目の前に現れた
兄弟の中でも一際大きな体を見上げる。
「カタクリ、何怖い顔してんだ。」
「くだらない話をするな、と言っている。」
「お前こそ本気にするな。少しからかってただけだ。ペロリン。」
冗談が通じない。場の雰囲気を盛り下げやがって。
そんな愚痴を口々に、兄姉たちは解散していった。
「ミドリ。」
2人になると
カタクリお兄ちゃんはこちらへ振り返り
片膝をついて、私に視線を合わせる。
「あいつらの言っていたことは気にするな。」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう。」
「……何を悩んでいる。」
ニッコリと笑顔を作ったんだけど
嘘の笑顔は見抜かれていて
話せ、と言わんばかりの鋭い目つきに
観念して笑顔をしまった。
「……さっき皆に言われたこと、もしかしたら間違いじゃないのかも、って思って……」
「何を言ってる。」
「……時々思うの。私、本当にママの子?って……戦っても弱いし、体も小さい。8歳も下のスムージーに背を抜かれたのよ?力でも敵わないし……」
「おれ達は父親も違うし見た目も皆違う。背が小さいくらい気にすることじゃない。それに、ここにいることがママの子であり、おれの妹である確かな証拠だ。戦えなくていい。」
鋭いまま、しかし曇りのない瞳で
「おれが守る。」
真っ直ぐにそう伝えられて、自然と顔が綻んだ。
「ありがと。お兄ちゃん、大好き。」
目一杯両腕を広げて
首に巻かれたファーごとお兄ちゃんに抱き着くと
いつものようにポンポンと背中を撫でられた。
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