君に触れる
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「一緒に寝てくれない?」
「しっ、声が大きい。」
次の日。
カフェでの仕事の空き時間にラキに相談してみた。
ひとりで考えていると思い悩んでしまうから。
「どうしても一緒に寝たいわけじゃないんだけど……でも夫婦になったのにほとんど顔も合わさないし、会話も少ないし、せめて夜だけでも一緒にいられたらって思って。」
話しながらだんだんと恥ずかしくなってくる。
まるで自分は夫から全く相手にされていない妻だ
と、宣言しているようで。
まぁその通りなんだけど。
「そんなの、ヤツが寝てるとこに潜りこんじゃえばいいじゃない。」
「えっ……」
ラキは持ち前のさっぱりとした態度で
恥ずかしげもなくそう言い切った。
「強引にいけばいいのよ。夫婦なんだから、遠慮なんていらない。」
「はい、解決〜」と機嫌よく言いながら
行ってしまった。
ワイパーさんが寝ているベッドに潜り込む?
強引に?
いやいやいや……
——勘弁してくれ
昨日の困った表情を思い出す。
そんなことしたら、きっとまた
あんな顔をさせてしまう……
その日の夜。
相変わらずワイパーさんの帰りは遅い。
寝支度を終えた私は
そっとワイパーさんの部屋のドアを開けた。
彼が寝ているところに潜り込むのは難しいけど
先に入ってしまえば
仕方なく一緒に寝てくれるかもしれない。
悩んだ結果、その答えに辿り着いた。
成功するかわからない。
嫌がられるかもしれない。
追い出されるかもしれない。
それでも、このままでいたらずっと
この状態が続いてしまうことになりかねない。
夫婦らしくありたい。
何より、ワイパーさんのそばにいたい。
部屋を暗くし、布団の中へ潜り込んだ。
ふわりと香る、ワイパーさんのにおい。
いつも吸ってるタバコと、あの長い髪から
香るシャンプーの香りが混ざったような。
ワイパーさんに全身を包まれているようで
妙に安心した。
この温もりが、本物のワイパーさんだったら
どんなに幸せか。
こんなふうに抱き締めあって眠ることができたら…
布団を手繰り寄せてギュッと抱き締める。
そのまま顔を押し付けて目を閉じた。