最終章 〜あなたとなら〜
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3日が経った。
私はあれからずっと
家でワイパーさんの帰りを待っている。
あんなことがあったから
ラキの計らいで、しばらくの間
仕事は休ませてもらうことになっていた。
待てども待てども
ワイパーさんが帰ってくることはない。
どうしてこんなことになってしまったの?
もう二度とここには帰らないつもりなの?
もう二度と会えないの?
ひとりぼっちで、そんなことばかりを考えながら
数日前までの楽しかったひとときを思い出す。
笑い合って、触れ合って、キスをして。
確かに気持ちは通じ合っていた。
こんなふうに人を好きになったのは初めてで
その気持ちを教えてくれた人。
絶対に、終わりにしたくない。
でも、そう思っているのは私だけで
——一緒になるべきじゃねェよ。
ワイパーさんはもう
気持ちが離れてしまったのかも。
——トントン
玄関ドアをノックする音が部屋に響いた。
「ワイパーさん!?」
思わず立ち上がるけど
出迎えに行くまでに、すぐに冷静になった。
あの優しいノックの仕方は彼じゃないし
もしもワイパーさんなら、鍵を持ってるから
そのまま入ってくるはず。
「ミドリ?いるの?お母さんよ!」
ドアの向こうから聞こえた声に
落胆と安堵が混ざったようなため息が出た。
ドアを開けると、心配そうな表情を浮かべた
母親の姿。
「帰ってきなさい。」
「え……」
「彼から連絡があったのよ。」
「彼って、ワイパーさん!?どうしてっ…」
「あなたを迎えに来てほしいって。」
ずっと堪えていた涙が一気に溢れ出た。
「全部、事情は聞いたわ。大変だったみたいね。」
言いながら抱き締めてくれるお母さんを前に
堪え切れなくなって
気持ちを全てを吐き出すように泣いた。
「どうして!?出て行ってほしいなら、自分で出て行けって言いにくればいいのに!!」
「ミドリ……」
「もう顔も見たくないほど、私が嫌いになったの!?」
「違う。あなたが大切だから、距離を置いたんでしょ?あなたにもわかってるはずよ。」
「……でも、こんなの酷いよ……」
「……とりあえず、一度帰ってきなさい。」
「………」
こうして私は、仕方なく
お父さんとお母さんのところへ戻った。
泣いて、泣いて、泣いて
身体中の水分がなくなるんじゃないかというほど
涙を流した。
涙も出なくなり、疲れて眠ると
ワイパーさんの夢を見た。
それが嫌で、眠ることも我慢していると
ワイパーさんのことしか考えられなかった。
寝ても覚めても、彼のことばかりで
何も手につかない毎日だった。