最終章 〜あなたとなら〜
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——この人殺しー!!
——あんたのことよ!シャンディアの鬼!!
どこの誰かもわからない女の声が
頭から離れない。
あの頃のおれは、まさに鬼のようだった。
先祖の故郷を取り戻そうと必死で
周りを省みず戦いに明け暮れていた。
時が経ち、今になってあの頃のツケが回ってきた。
おれがやってきたことへの、当然の報いだ。
むしろこれまで何事もなく
平穏でいられたことの方が不思議だった。
おれはどんな罵声を浴びようと構わない。
ただひとつ、気掛かりなのはミドリのことだ。
自分の夫となる男が”人殺し”と罵られて
平気でいられるはずがない。
おれが原因でミドリが落ち込み
傷付く姿なんて見たくない。
このまま、あいつのそばにいていいのか……
この2日間、そればかりを考えている。
逃げていたって仕方ないが
仕事もねェのに神の社に残っていて
日付が変わろうとしている時刻。
重い足取りでミドリの待つ家へ帰る。
いつもは外灯が灯っている玄関前が
今日は真っ暗だった。
ドアを開けると、ひんやりと冷たい空気。
部屋の中まで暗いのは
すでにミドリが眠った後だからだとしても
なんだか嫌な予感がした。
最終章 〜あなたとなら〜