第七章 〜鬼と結婚するということ〜
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次の日。
神であるガン・フォール様が
ワイパーさんを含めた護衛の方を数人引き連れて
パンプキンカフェへとやってきた。
「いらっしゃいませ!」
「神様!へそ!」
「うむ、世話になる。ここのカボチャジュースが大好物なのだ。」
「ありがとうございます!」
カフェの皆で出迎えをしていると
神様はふと私の前で立ち止まった。
「ミドリだな。あの時はどうなることかと思ったが、仲良くやっとるようだの。よかったよかった。」
私のことを覚えてくれていたようで
優しい笑顔を向けられたので、深く頭を下げる。
「ありがとうございます。その節は本当にお世話になりました。今日はゆっくりしていってくださいね。」
神様はにっこりと優しい笑顔を向けると
護衛隊や神隊、従者の皆さんと店の奥へ向かった。
やはり神様一行は目立ち
他のお客さんからの注目を浴びながらも
たくさんの料理やデザートを満喫されている。
食べ終わったお皿を片付けているときだった。
「あなたがミドリさんですね。ワイパーさんの。」
「えっ…」
そばにいたひとりの護衛隊の人に声をかけられた。
「噂になってますよ。あのワイパーさんに恋人がいるって。」
「えっと……」
何て答えたらいいのか困っていると
横から現れたワイパーさん本人が彼の肩を掴む。
「余計なこと喋ってんじゃねェ。ジジイのメシが終わった。もう出るぞ。」
「わかりましたよ。でも羨ましいな〜ワイパーさん。こんな可愛らしい子と。」
「黙れ。」
その人が渋々離れていくとワイパーさんが
罰の悪そうな顔で小さく耳打ちをする。
「悪かった。カマキリのヤツが余計なこと言いやがった。」
「いえ、大丈夫です。」
「じゃ、邪魔したな。」
そのまま神様一行は帰られることになり
私たちも見送りに店の外へと向かう。
カフェの前には神様を一目見ようと
いつの間にかたくさんの人集りができていた。
「やはりここのカボチャジュースは最高だった。また来る。」
「ありがとうございました!」
「お気をつけて!」
人集りの間を行く皆の背中を見送る。
——と
「この人殺しー!!!」
叫びにも似た女性の大きな声が響き
一時騒然となる。
護衛隊はすぐさま神様を中心に体制を整えて
様子を伺っていた。
ひとりの女性が人混みを押し退けるように
かき分けながら前に出てくる。
「人殺し!!何が神の護衛隊よ!!」
「どうしたんだ!落ち着きなさい!!」
興奮している様子で息を荒げ
表情は怒りに満ち溢れている彼女を
すぐに神隊が2人、取り押さえにかかる。
それでもめげずに、叫んでいた。
「人殺し!!そこのあんたよ!シャンディアの鬼!!」
その言葉に、周りの皆がハッと息を呑んだ。
”シャンディアの鬼”
ワイパーさんのことだ。
「3年前、私の夫はあんたに殺された!!」
「いい加減に黙りなさい!おい、連れて行くぞ!」
「はい!!」
「この人殺し〜!!一生恨んでやる〜!!」
最後までそう叫びながら、女性は神隊の2人に
連れられ、姿を消した。
ワイパーさんが……人殺し?
頭の中が真っ白になる。
「大丈夫?ミドリ。」
心配したラキがそばに来てくれた。
「あ、うん……私は大丈夫。」
ワイパーさんの方を見る。
神様と共に去って行く後ろ姿しか見えなくて
その表情は確認できないけど
いくらワイパーさんでも
あんなことを言われて動揺しないわけがない。
「気にするでないぞ、ワイパー。3年前の話だ。あの頃…お前さんらには敵が多かった。それだけのことだ。」
「……別に気にしちゃいねェよ。」