第七章 〜鬼と結婚するということ〜
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「全然連絡してこないから心配だったけど、元気そうでよかったわ。」
仕事帰り、父と母のところへ帰ると
夕食作りに忙しそうな母。
食器が3つ用意されているから
私の分も用意してくれているようだ。
「ワイパーさんとはうまくいってるの?」
やっぱり、気になるところはそこだよね…と
少し返答に困る。
うまくいってるどころか…反対にいきすぎている。
一度は「結婚なんてできない!」と
逃げ帰ってきたこともある娘が
まさかいきなり両思いになって新婚夫婦のような
日々を送っているなんて、想像もつかないだろう。
「えっと…割と仲良くやってるよ。」
「本当なの?結婚に向けて話は進んでる?」
「結婚……」
確かに、私たちはそのために出会ったけど
具体的な話は進めていない。
今は気持ちが通じ合ったことが嬉しくて
そばにいられるだけで幸せを感じてる。
でもずっとこのままというわけにいかないことも
わかってる。
「お父さんもお母さんも楽しみにしてるんだからね。」
「これからのことは、まだちゃんと決めていないけど…私たちのペースでやってくから、あまり口出ししないでよ。」
「はいはい、わかりました。ほらお父さん呼んできて。ご飯食べていきなさいよ。」
「うん、ありがとう。」
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「うめェな。」
うちへ帰るなりテーブルの上の料理を
美味しそうに頬張るワイパーさん。
「母の料理です。今日家へ帰っていたので。」
「そうか。」
私は2人分のお茶を出しながら
向かいの席に座った。
「明日、お前の店に行くことになった。」
「え?仕事でですか?」
「ガン・フォールがどうしても行きたいってな。」
「じゃあ神様の護衛で…」
「あァ。普段ならあのジジイも好きに出かけるんだが、青海の奴らの事件があったから、一応な。」
「じゃあ明日、神様にお会いできるんですね。楽しみです。」
笑顔を向けるとワイパーさんの口角も上がり
優しい瞳と視線が交わる。
甘い空気が2人の間に流れた。
ワイパーさんは前より表情が柔らかくなって
よく笑顔を見せてくれるようになった。
まだまだ慣れないこの甘い空気が
少しくすぐったく、でも愛おしい。