第六章 〜くちづけを〜
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「んっ……」
少し開かれたワイパーさんの唇が
私の唇を覆うように押しつけられる。
同時に後頭部もドアに追い詰められ
顔も逸らせない。
深く触れては離れそうになり、より深く吸い付く
何度も啄むような口付け。
時折漏れるワイパーさんの荒い吐息が色っぽくて
何も考えられないほど頭の中は真っ白になり
必死でワイパーさんからのキスに応えた。
チュ、と湿った音をさせて唇が離れると
熱のこもった瞳と目が合う。
「………」
「………」
言葉はなく、少しの間見つめ合って
また顔が近付いてきて
もう何度目かもわからないキスをした。
幾度となく角度を変えて
お互いの吐息が混ざり合うほど
夢中になって触れ合った。
いつの間にか両腕は解放され
ワイパーさんの腕は強く私の背を抱き寄せていて
私もワイパーさんの首に腕を回した。
お互いに、求め合っているのがわかった。
心の底から、愛おしい気持ちが込み上げてくる。
ワイパーさんの唇が、頬、耳元、首筋と
だんだんと降りてきて
今まで感じたことのない刺激に
また頭が真っ白になる。
ぬるり、と鎖骨のあたりを舌が這ったとき
「あっ……」
自分のものではないような
頭の上を抜けるような声が自然と漏れて
同時にワイパーさんは私から離れた。
「っ……悪ィ!」
耳まで真っ赤になったワイパーさんを前に
私も初めて出た変な声の恥ずかしさから
思わず口元を手で隠した。
「調子に乗りすぎた。悪かった。もう寝ろ。」
目も合わせないまま私の背にあったドアを開け
半ば無理矢理私を中へ押し込むと
パタンとドアを閉めた。
一気に身体の力が抜けて、その場へ座り込む。
触れ合っていた唇。
抱き締められた背中。
身体中の全てが熱い。
ワイパーさんと私
すごく恥ずかしことをしてしまった。
でも、とても満たされた気持ち。
放心状態のまま、息を整えていると
「ミドリ。」
ワイパーさんの声。
「おれもお前と同じ気持ちだ。」
ドアの向こうから、静かにそう伝えられた。
「また明日。」
足音が離れたかと思うと
隣のドアが開き、そして閉まった。
目頭が熱くなって、泣きそうになる。
——好きです
つい口から出てしまった私の気持ちだけど
伝えてよかった。
そして、ワイパーさんも同じように……
私は今、すごく幸せだ。
怖いくらいに。