第六章 〜くちづけを〜
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家に帰っても落ち着かない様子のワイパーさんは
何時間も部屋に篭って筋トレに励み
夕食後は「走ってくる」と言って外へ出て
帰ってくるなりお風呂へ直行した。
入れ替わりでシャワーを浴びた私が戻ると
ソファーに座ったまま居眠りをしている。
「ワイパーさん?部屋で寝てください?」
そっと声をかけても起きる気配がないので
隣に座り、寝顔を見つめる。
整った顔は変わらないけど、その無防備な寝顔に
たまらなく愛おしい気持ちが込み上げてくる。
本当、私ったらいつの間に
こんなにもワイパーさんのことを…
「……好きです。」
小さくそう言って
昼間のお返しをするように、頬にキスをした。
自分でも大胆すぎる行動に驚いたけど
そうせずにはいられなかった。
顔を離すと、パチリと目と目が合う。
「……本当か?今の。」
ドキッとした。
起こしてしまった。
自分の行動が急に恥ずかしくなり
その場から離れて部屋へ逃げようとしたけど
ドアを開ける直前で腕を掴まれる。
「ごっ、ごめんなさいっ!気持ち悪いことして!」
思わず頭を下げて謝ると
顎に手を添えられて上を向かされる。
寝起きとは思えないほど鋭く、熱い視線。
今すぐどこかに隠れてしまいたいほど
恥ずかしいのに、目を逸らすことができない。
「遠慮しなくていいんだな?」
顔が近付いてきて、唇と唇が触れる。
唐突すぎて、目を閉じる暇はなかった。
「……嫌じゃねェか?」
少し不安気な、それでいて物欲しそうな表情。
返事の代わりに目を閉じると
もう一度優しく唇が重なった。
3秒くらい触れて、チュ、と音を立てて離れる。
恥ずかしくて心臓が張り裂けそうだ。
「……なァ、さっきのは本当なのか?」
両肩に手を置かれて、真っ直ぐに見つめられる。
——好きです
寝てると思ってたのに、聞かれてた…
「……本当です。」
真っ直ぐに見つめ返しながら素直にそう言うと
もう一度顔が近付いてきたので、目を閉じた。
3度目のキス。
「んっ……」
唇が触れたまま離れず
苦しくなってワイパーさんの胸元を押すけど
その手首は簡単に掴まれてしまい
部屋のドアへと押さえつけられ逃げ場を失った。
また、チュ、と音を立ててやっと唇が離れる。
息を荒げて見つめてくるワイパーさんは
私の知らない”男”の表情をしていた。
でも、顔の横で押さえつけられたままの両腕は
荒々しくも、力を入れればすぐに外せそうなほどの力加減。
「……怖いか?」
怖いわけがない。
優しさすら感じられる。
私が首を横に振ると
安心したようにフッと一度口角を上げて
顔が近付き、額と額が重ねられる。
「もっと…深いのがしてェ。」
低く響くように囁かれて
身体の中心がドキンと跳ね上がった。