第六章 〜くちづけを〜
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気安く話しかけんじゃねェ。
てめェらは客だから笑ってもらえてるだけだ。
変な目で、その女を見るな。
カマキリは気に入っていたが
あの店にはあまり行きたくなかった。
あいつが、笑顔を振りまいているから。
おれ以外にも、あいつの周りには
多くの男がいると思い知らされるから。
自分がここまで器の小さい男だとは思わなかった。
——いい男でしょ。ミドリがお気に入りみたい。
ラキの言葉に言いようのない怒りが湧いてくる。
どうしてここまでムカつくのか。
この怒りの理由は、初めてぶち当たる感情。
焦燥。
嫉妬。
独占欲。
平静を装おうとしても
自分にもどうにもできないものだった。
オモチャを貸せないガキじゃあるまいし
独り占めしたい、なんて面倒臭ェし格好も悪ィ。
情けねェ男だ、と自分に呆れてくる。
そんな葛藤を抱えている中
会えない日もせめて寝顔を、と足早に帰るも
あいつはまだ帰っていなかった。
気にすることじゃねェ、と自分に言い聞かせて
熱いシャワーを浴び、布団に潜り込む。
が、またあの感情がおれを襲う。
そのまま眠りにつくなんて、できるわけもねェ。
家を飛び出せば、2人の影が見えた。
おい、どうしてその男と2人で帰ってくる。
触るんじゃねェ。おれのだ。
面倒臭ェ、格好悪ィ、なんて言ってられねェ。
感情を剥き出しのままに、抱き締めたお前は
おれのこんな荒っぽい腕では
壊してしまいそうなほど、柔らかかった。
第六章 〜くちづけを〜