第五章 〜彼の嫉妬〜
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夜の11時半。
もうすぐ日付が変わろうとしている夜中。
ひとり、本を読みながら
私はワイパーさんの帰りを待っている。
先に寝てるよう言われたけど
眠くなる限界まで待ってみることにした。
ソファーの背もたれに頭まで預けて
膝に置いた分厚い本を読み進めながら
一枚一枚ページをめくる。
……と、だんだんと目の前がぼやけてくる。
何度も同じ行の文字を読んでしまったりして
いよいよ眠気との勝負に負けそうになる。
本を広げたまま、ゴロンとソファーに横になると
ひんやりとした感触で少しだけ目が覚めた
……気がしたんだけど
それはただの気のせいで
だんだんと遠のいていく意識を取り戻せず
私はそのまま目を閉じた。
ーーーーーーーー
ふわりと体が浮いた気がして、重い瞼を開く。
「……あれ…」
ぼんやりと目の前にワイパーさんの顔が見えた。
「何こんなとこで寝てんだ。風邪引くだろ。」
「…ごめんなさい……」
回らない頭で、何か怒ってるのかな?と思って
とりあえず謝っておいた。
気付くと自分のベッドの上。
ワイパーさんが布団を私の首元までかけてくれて
ホッとする心地良い温もりに包まれる。
瞼はまだまだ重くて、ちゃんと開きそうにない。
薄らと視界に入ったワイパーさんの手に
気付いたら手を伸ばし、自分の手を重ねていた。
外から帰ってきたばかりだからか
今は私の方が体温が高いようで
ワイパーさんの手が、初めて冷たく感じた。
「……どうした。」
「……さわりたくて。」
眠くて眠くて、うまく回らない頭のおかげで
ものすごく素直になれた。
ワイパーさんはベッドの横の床にドカッと座ると
するりと手を返して
私の手を上から包むように優しく握る。
頬が緩むのを、抑えられなかった。
「さみしいの…なくなりました。」
フッと、一瞬だけ
ワイパーさんも笑ってくれたような気がした。
いつも通りの、優しい手の温もり。
私が求めていたもの。
それが心地よくて、布団の暖かさもあって
襲ってくる眠気に逆らわず、そのまま目を閉じた。
「お前………すげェ可愛いな。」
すごく小さな声で
嬉しいことを言ってくれた気がした。