第四章 〜ありがとう〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「動くなァ!青海の海賊ども!!」
勢いよく扉が開くと、神隊が次々と入ってくる。
「あ!?」
「な、なんだ!てめェら!!」
リーダー格の男が一瞬怯んだ隙に
人質となっていた女の人も解放され
同時にカイゾク達と神隊との戦闘が始まった。
「皆さん無事ですか!?ここは危険だ!早く外へ!!」
銃声が鳴り響く中
捕らえられていた私たちは誘導され
裏口から外へと通される。
外ではコニスが心配そうな表情で
私たちを待ってくれていた。
「みんな!無事でよかった!!」
外に出て、コニスの笑顔を見て安心した。
やっぱり彼女が神隊に通報してくれたようだ。
「もう大丈夫だね。」
「クソ…武器さえあれば、あんなヤツら……」
助かったというのに、私の隣で
ラキはまだ悔しそうに唇を噛んでいた。
店内の方から銃声音は聞こえなくなり
どうやらカイゾクは捕らえられたようだった。
「順番に縄を解きます!じっとしていて下さい!」
縄が解かれるのを待っていると
私たちを避難させてくれた神隊の人達の
何やら焦った声。
「えっ!なぜ、あなたが!?」
「わざわざ護衛隊の方に来てもらうほどのことではっ…」
「仕事で来たわけじゃねェ。」
聞き慣れた、地を這うような低い声に
体が反応する。
「この中におれの妻がいる。」
一際目立つ大きな体を前に、体が固まった。
「ワイパーさん……」
パチっと目が合うと
ズカズカとこちらに近付いてくる。
思わず身構えた。
突然現れたオーラのある彼の姿に
周りの誰もが目を奪われ
その場が静まり返り、注目していた。
ワイパーさんは私の後ろに立つと
後ろ手に縛られた手首の縄に手をかける。
「ワイパーさん…どうして……」
「……カフェが制圧されたと聞いてな。」
まさか……
助けに来てくれたの?
……私を?
縄が解かれて自由になった手首を
ワイパーさんの大きな手に撫でられる。
チッ、と小さく舌打ちが聞こえた。
見ると、きつく縛られたことによって
そこには赤く跡が付いている。
「ワイパー、こっちも。」
ラキがワイパーさんに背を向け、腕を突き出す。
「おう。」
ワイパーさんはラキの縄も解くと私の腕を掴んだ。
「ラキ、こいつは連れて帰るぞ。」
「え?」
「はいはい、どうぞ。ミドリ、また明日。」
ラキは解放された自分の手首を摩りながら
少し呆れたように笑った。
「ワイパーさん、お仕事は…」
「いいんだ。さっさと帰るぞ。」
半ば強引に手を引かれ、その場から離れる。
カフェの前では例のカイゾク達が全員
神隊によって縛り上げられていた。
「なんだ、ちゃんと大事にされてるじゃない。」
ラキは嬉しそうに微笑んで
2人の後ろ姿を見送っていた。