第三章 〜結婚できません〜
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数分前の自分の行動を、激しく後悔していた。
やっぱり、無理だった。
先に子どもを…なんて、無謀すぎた。
でも、だったら、この先どうしたらいいの?
どうしたら、あの人の妻としてやっていけるの?
鼻をすすって、涙を堪える。
結婚てもっと憧れてた。
好きな人ができて、少しずつ距離が縮んで
両思いになって
そばにいることが当たり前で
プロポーズされて
2人で幸せな毎日を築いていく。
将来はそれが3人になって
愛する旦那さんと子どものために毎日を過ごす。
私にもそんな未来が来ると思ってたのに。
もしかしたらワイパーさんと
そんなふうになれるかもしれないって。
情けないことに、たったの2日で
この暮らしから逃げ出したくなってしまった。
ーーーーーーーー
『おはようございます。
今日は先に出ます。 ミドリ』
用意した朝食と一緒に短いメモを残して
ワイパーさんが起きてくる前に静かに家を出た。
いつもの時間よりも早すぎて
誰よりも早くカフェに着いた。
「そっか。今日はラキもコニスも休みなんだ…」
話を聞いてもらいたかったのにな…
スタッフの勤務表を見て落ち込みながらも
暗くなった気持ちを振り払うように
仕事に打ち込んだ。
幸いカフェは今日も忙しく
余計なことを考えずに集中することができた。
でも、時間は過ぎ、だんだんと帰る時間が
近づくにつれ、憂鬱が戻ってくる。
今日はすぐに帰って夕食を作ろう。
昨日のことは気にしないで
何か話せるように頑張ろう。
ちゃんと事前に話題も考えておこう。
もう、先に体の関係を、なんて
バカなことは考えない。
仕事を終えた後、覚悟を決めて
裏の扉から店を出ると目の前にラキの姿があった。
「ラキ!どうしたの?」
「お疲れ様。そろそろ出てくると思ってたよ。」
「よォ、ミドリちゃん。お疲れ。」
その隣にはラキと仲良しで
カフェにもよく来てくれるカマキリさん。
そして、そのさらに隣には……
「…!…ワイパーさん……」
「おう。」