プロローグ
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それから一週間が過ぎる頃だった。
「何の用だ。ガン・フォール。」
「あぁ。急に呼び出して悪かったの。」
神の社での仕事の合間に、ワイパーは突然
神であるガン・フォールに呼び出された。
スカイピアの神の座に戻り
自分が仕える相手となった今でも
ガン・フォールへ対するワイパーの態度は
昔から一切変わらない。
そんな様子を気にする様子もないガン・フォール。
その隣にはシャンディアの酋長の姿もあり
ワイパーは何事かと眉間に皺を寄せた。
「酋長に相談されてな。」
机の上に、封筒が差し出された。
「なんだ、これは。」
それに手を伸ばし、封を開けると
中から出てきたものは複数の写真。
それも写っているのは全て女性。
見た瞬間、嫌な予感を感じる。
「見合いをしろ。」
それまで黙っていた酋長がニッと笑顔を見せる。
嫌な予感は的中した。
「興味ねェ。」
写真を封筒へ戻し、机の上に乱暴に放ると
酋長がギロリと鋭い視線を向けた。
「お前ももう25になる。嫁を取れ。」
「興味がないと言ってるだろ。」
話は終わり、とでも言うように
扉へ向かって引き返す。
「カルガラの血を絶やすことになってもいいのか。」
その背中へ向けられた酋長の一言に
ワイパーの動きがピタリと止まった。
「カルガラも家族を作り、護るものが増えたからこそ、より強くなったのではないか。」
「………」
「どうせ自分では相手なんて見つけられないだろう。だからガン・フォールに相談したんじゃ。」
「今ではお前の身は私が預かってるようなものだからの。」
「………チッ…」
舌打ちをひとつして、仕方なく2人の元へ戻ると
ガン・フォールは楽しそうに
封筒の中の写真を一枚ずつ机の上に並べる。
「神兵の娘や知り合いを集めさせた。スカイピアの娘たちはどれも良い子だ。安心して選ぶといい。この中からお前が気になる娘、全てここに集めよう。」
「誰だって同じだ。」
本当に全く興味はなかった。
並べられた写真に目をやっても
何を基準に選んだら良いのかもわからない。
どの女を選んでも同じだ。
適当に選んで、この場はやり過ごそう。
そう考えながら一通り端の写真まで
流し見たときだった。
ワイパーの手が止まる。
一番端の写真の娘は
パンプキンカフェにいたあの娘。
あの時のような笑顔ではなく
すまし顔で写っていはいたが
ワイパーはまた、目が離せなくなった。
「……気になる娘がいたか?」
ガン・フォールの声かけによって我に返り
その写真を引き抜いて差し出す。
「どうしても、と言うなら…この女だ。」
そう言い残して
ワイパーは熱くなった顔を隠すよう
そそくさと神の部屋を後にした。