第二章 〜二人暮らし〜
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本音なんて、言えなかった。
優しくするやり方も、わからなかった。
おれを恐れて
言いたいことも言えずにいることもわかっていた。
一度だけ触れた絹のような髪からは
鼻をくすぐるような甘い香りがして
おれの手を心配して撫でるその手は
とても小さくて頼りなく
信じられないほど柔らかい。
どうしようもないほどに全身が熱くなって
それは今まで生きてきて知らない感覚で
思わず、その手を振り解いた。
会って間もないのに
お前が欲しくてたまらなくなった。
でもその裏で
お前がおれを求めていないことにも気付いていた。
どうしたら手に入るのかわからない。
このままじゃ、お前はおれから離れていく。
ひどく焦っていたおれは
「おれと、結婚しろ。」
情けないことに、おれへの恐怖心を利用して
お前を縛るしかなかった。
ただ断れなかっただけだとしても
本当の気持ちではなかったとしても
「はい……結婚…します……」
その一言に、柄にもなく舞い上がった。
〜第二章 二人暮らし〜