神、愛を知る。/エネル
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから毎日。
毎日。毎日。毎日。
午後のカフェが忙しい時間だったり
買い出ししてる時や、街を歩いている時だったり
朝早く、アパートからお店へ向かう時だったり
とにかく毎日、彼は私の目の前に突然現れた。
「暇なんですか!?」
一週間ほどそれが続いて
またカフェに彼が現れた今日
私はつい、そう叫んでしまった。
やばい、怒られる。
そう思って手で口を押さえたけど
ゴッドは気にする様子もなく
いつものカウンターへ腰掛ける。
「あァその通り、暇なんだ。」
私の店は『ゴッドが現れる店』として
有名になってしまい
すっかり客足が遠のいてしまっていた。
それでも今日は3組ほどいたのに
彼が現れたことによって、その3組のお客さんも
いつの間にかいなくなってしまっている。
「あの…困ります!エネル様がここにいらっしゃると……お客さんが来ないんです。」
「客が来ると忙しいんだろう。ゆっくりできていいじゃないか。」
何の問題がある、とでも言わんばかりの表情で
私の出したコーヒーをすする彼に
だんだんと腹が立ってくる。
「お客さんが来ないと店が潰れます。」
「いいじゃないか、こんな小さい店。なくなっても誰も悲しみはしない。」
「両親が残してくれた大切なもので、私にはこの店以外何もないんです!」
「私の所に来ればいい。」
「えっ……」
ほら、また。
「何もかも無くしたら、私の嫁になればいいだけだ。」
いつもこの人は、簡単に
冗談を言うように、私の心を掻き乱す。
「……と、とにかく!もう来ないでください!」
ひどいことを言われてるのに
こんなふうに心臓がドキドキするなんておかしい。
とにかくこれ以上彼のそばにいたら
私までおかしくなってしまう。
「あなたのお嫁さんになる気もありません!あの……本当に迷惑なんです!!」
言った。
言ってしまった。
あぁ、終わった。
殺される……
彼の顔を見られない。
下を向いてギュッと目を閉じる。
今までゴッドにここまで楯突いた人は
きっといないだろう。
重罪だ。神の裁きがくる。
………
………
「………あれ?」
特に何も起こる様子はなく
恐る恐る目を開けると、彼はいなくなっていた。
「……エネル様…?」
名前を呼んでも、その声は虚しく空気に消える。
その日から、ゴッド・エネルが
私の前に現れることはなくなった。