あなたがくれたもの/アーロン
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「魚人が来たぞ!!」
「少女は無事か!?」
あっという間に軍艦のそばに来ると
兵士たちがアーロンに向かって銃を向けている。
「ミドリ、体を丸めろ。船へ投げる。」
「投げ……えっ——」
「約束通りこいつは返す!受け取れ!!」
ふわりと体が浮いたかと思うと
気付けば何人かの兵士に受け止められていた。
「君!大丈夫か!?」
「何もされていないか?怪我は?」
「少女、確保!!」
同時に兵士たちは海に向かって砲撃を始める。
「やめて!!アーロンさんが!!」
ミドリは慌てて立ち上がり
甲板から海を見下ろすが
そこにはすでにアーロンの姿はなかった。
「討ち取ったか?」
「いや、どうだか。魚人は海底へ逃げるからな。」
「クソッ!」
「まァ、少女が助かったんだ。よかったじゃないか。」
「きみ、大丈夫か?無事でよかった。」
「アーロンさん……」
ただ何もなく揺れる海面を見つめる。
本当は、そばにいたかった。
あなたさえ許してくれたら
ずっと一緒に生きていきたかった。
でも、あなたがそれを許してくれなかった。
それは私のため。
私が夢を叶えて、新しい人生を歩むため。
もう涙は見せない。
あなたが繋いでくれたこの場所から
私の第二の人生が始まるから。
「あの……」
「ん?」
「私を海軍に入れてください!!」
「………え?」
絶望しかなかった私に
あなたはこうして、明るい未来をくれた。
ーーーーーーー
「別れは済んだのか。」
「あァ、悪かったな。お頭。」
「アーロンさんだけずるいな。」
「そうだ。おれたちもちゃんと別れを言いたかったのによ。」
「しょうがねェだろ。ミドリをここへ連れてきたのはアーロンさんだ。」
「無理言って悪かったな、お前ら。お頭も。」
「まァ、お前が気にかけるのもわかる。ミドリはいい子だった。」
「……あァ。最後まで変な女だった。」
アーロンは頬に手を当てて
ひとつ笑みをこぼすと、水平線を見つめる。
じゃあな、ミドリ。
元気でやれ。
…fin