あなたがくれたもの/アーロン
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美味しくないお酒の味。
海と空、そしてこの世界の広さ。
こんな世の中にも、希望はあること。
誰にでも、夢を追う自由があること。
誰かに強く惹かれる心。
その誰かの温もり。
愛。
そして、失うことの恐怖。
何もない、空っぽだった私に
その全てを教えてくれたのは
他でもない、あなただった。
〜あなたがくれたもの〜
「アーロンさん!その人間は!?」
——日が暮れかけている夕刻の港。
明日の出航に備え
クルー達が忙しく動き回る魚人海賊団の船に
ミドリを抱えたアーロンが帰ってきた。
「船に乗せる気か?」
「まさか…一番人間嫌いなアーロンさんがそんなことをするわけ……」
皆が驚きの表情を浮かべている前を通りすぎ
甲板奥の船室へと向かう。
と、ちょうど正面の扉から
この船の船長、フィッシャー・タイガーが現れた。
「おォ、アーロン……それに、いつかのお嬢ちゃんか。」
「あ、お頭さんだ。こんにちは。」
自分に向かって目線を合わせるタイガーに
ミドリが笑顔を向けると
お前は黙ってろ、と言わんばかりの目つきで
アーロンがミドリを睨む。
「すまねェ。アニキ。全責任はおれが持つ。」
「何も謝ることはねェ。お前の気が済むようにしたらいい。」
船長の了解を得たところで
アーロンはその場にミドリを下ろし
甲板にいるクルー達の方へと振り返った。
「お前らにも、迷惑をかける。何か気に触ることをしたら、こいつはすぐに海へ放り出して構わない。」
ポンと頭に手を置かれ
ミドリはアーロンの言う“こいつ“が
自分のことを指していることに気が付いた。
「……えっ、海にですか!?それはちょっ——」
「黙れ。行くぞ。」
そのままミドリの腕を引き
船室へと入っていった。
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