第二章 〜現れた大海賊〜
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日の夜。
私は養護施設での仕事後
いつものように酒場で接客をしていた。
——カランカラン
「いらっしゃいませ〜!」
一見さんの男の人たちが数人、入ってきた。
その人達がまたなんとも特徴的で
明らかに海賊。
それでなければ山賊やごろつきといった部類の
人たちであることは明らかだ。
眉がなく、頬に十字の傷がある人相の悪い人や
肉を片手に持った太った人をはじめとした
大男たちの集まりだった。
その中心にいる男の人は
珍しい髪の色が一際目を引く。
クセのある真っ赤な髪を後ろに流し
はだけさせた白いシャツの上には
黒いマントのようなものを羽織っている。
大きな剣を堂々と腰に着けていて
左目に走る3本の傷が印象的だった。
この人たち、何者…?
一般人とは違う空気をまとっている彼らを前に
私が一瞬たじろぐと
周りにいたお客さん達が騒ぎ始めた。
「な…お、おいっ!もしかしてっ…」
「か、海賊だぁ!!赤髪海賊団だ!!」
「あの四皇の!?」
「やっぱり…港に泊まってるのは本物だったんだ!」
「ヤツが…赤髪のシャンクス…!!」
赤髪のシャンクス。
この人が、あの四皇と謳われる有名な海賊。
どうしよう。
このまま店に入れていいのか…
もしかしたら何かトラブルが起こってしまうかも…
と、戸惑っている私のところへ
騒ぎを聞きつけた店長が来てくれた。
「ご来店ありがとうございます。赤髪海賊団の皆さんとお見受けしますが…」
「あァ、店主か。悪いな。ただ酒を飲みたいだけなんだが。騒ぎになるようなら遠慮しようか。」
私は拍子抜けした。
てっきり「席を空けろ」「酒を出せ」と
脅されるんだと思っていたから。
きっと店長を含め、この場にいる全員が
四皇であるはずのこの人の謙虚な態度に
少なからず驚いていたと思う。
「いえ、大丈夫です。人数が多いようですので、奥の広い席へどうぞ。」
「ありがとう。気が利くな。」
「じゃ、ご案内して。」
「は、はい!」
指示されるまま、私は彼らを
店の一番奥にある大きなテーブルへ案内した。
次々と目の前を通る大柄な男たちに
強張る身体を抑えていると
最後に前を通り過ぎた赤髪が
何やら含み笑いを浮かべて私を見た。
ふいに目が合ってしまい、すぐに逸らすと
赤髪は、はははっと楽しそうに笑った。
眉が下がり、目尻に皺を寄せ
大きな口を開けた屈託のない笑顔は
その首に何億もの賞金がかかってる大悪党には
到底見えない。
「そんなに怪しまないでくれ。金ならちゃんとある。とりあえず人数分、ビールを頼む。」
「あ、はい、すぐに。」
本当に、この男が世界的な大犯罪者なのだろうか。
想像とかけ離れていて、完全に意表を突かれた。
でも、相手は海賊。
ニコニコしていても
内心は何を企んでいるかわからない。
完全に信用してはいけない。
私は警戒しつつも
彼らの機嫌を損ねないように接客に努めた。