最終章 〜ともに歩き出す〜
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「もう見えないな。」
島からだいぶ離れても
その方角を見つめたまま動かない私の隣に
シャンクスがやってきた。
「改めて仲間たちに紹介したい。甲板に来い。」
そう言って歩き出そうとするシャンクスの
服の裾を掴む。
「シャンクス、その前に…」
「おう、どうした?」
「私、あなたに言っておきたいことがあったんだった。」
「なんだ?」
そう、言いたくても言わせてもらえなかった。
それは言ってはいけない言葉だった。
「好き。」
ふわりと2人の間を風が通り抜けて
シャンクスのマントが静かに揺れた。
「あなたが好き。」
すごく恥ずかしい。
けど、ちゃんと伝えたかったから
「私の大事な人はチャンだったけど、私が好きになったのはシャンクスだった。」
真っ直ぐに、目を逸らさずに、言葉を繋ぐ。
「あなたは手紙で、格好良いチャンのままでいたかったって言ってたけど、シャンクスは私の中でずっと、格好良いシャンクスだったよ。」
「もうやめろ。」
シャンクスは掌で
自分の目元を隠すよう、顔を覆った。
「嬉しくて、泣きそうだ。」
思わず、その大きな身体を抱き締める。
こんなふうに誰かを愛おしく感じるのは
生まれて初めてだ。
釣られて私も泣きそうになって
シャンクスの胸に顔を埋めた。
優しく身体を抱き寄せてくれて
頬にひとつのキスが落ちてきた。
「おれも好きだ。」
聞こえるか聞こえないかくらいの
かすれた声で小さく囁かれた。
堪えていた涙が頬を伝って
その上に重ねるように何度も何度も
優しいキスをくれた。
あの日、母が私とあなたを繋げてくれた。
あなたの存在は私の中で絶対だった。
あなたはいつも
私を認めてくれて
誰よりも大事にしてくれて
たくさんの愛を注いでくれた。
会いたくて、会いたくて
たまらないのに
絶対に会うことのできない
遠い人だった。
こうして今、2人が寄り添っているのは
きっと奇跡。
だけど確かに私たちは惹かれ合った。
離れていた分も、これからはずっと
誰よりも、一番そばに。